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いざ着てみると、浴衣姿にちょっと恥じらいが浮かんで、部屋の和室のふすまをそーっと開いて中を覗き込んでみたけれど、彼の方はまだ戻っていないようで、代わりに布団が二組敷いてあった。


いないとなると、それはそれでどういう風に待っていようかとあたふたとする。


テーブルに正座をして……。それとも、もう布団の中に入って……。


なんだか、どっちも違う気がして、部屋の中をうろうろと所在なく歩き回っていたら、ふいにふすまの戸が開いた。


「あっ……」布団の上に突っ立ったまま、彼と目が合う。


「もう出て来ていたのか?」


「はい……えっと、割と前に」もうちょっといいシチュエーションで会いたかったのにと、つくづく思う。


「そうか、僕はさっき早めに上がってしまったから、少しゆっくりと入ってきたんだ」


「そ、そうだったんですか……」


矢代チーフの浴衣姿がかっこ良すぎて、直視ができずに布団の上をつい後ずさった。


「どうして後ろに下がるんだ? 浴衣、とても似合っているから、もっとよく見せてほしい」


「い、いえ、私よりもチーフの方が……っ」


生成りの地に細い縦縞の柄が入った和装姿が、あまりに似合いすぎな彼が、私の傍に寄り浴衣の袖を掴んだ。

クールな上司の秘密の顔は、甘々溺愛彼氏⁉

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