「……君の方が、ずっと素敵だよ」
間近に見つめられて、心臓が早鐘を打つ。
「白地に大輪の紅い牡丹の花が映えて、綺麗だ」
「……チーフだって……すごく……」
照れくささに口にする私に、
「……そのチーフっていうの、やめないか?」と、彼が言って、「どうも仕事の延長のようにも思えて」と、続けた。
確かにそうかもしれなくてとも思うけれど……、「……えっと、もしチーフ以外の名前で呼んだら、うっかり会社で口に出しちゃいそうで……」──自分の性格だと、そんなこともありそうに感じた。
「それもそうだな、僕も気をつけないとな。だが、今だけでいいから、呼んでみてくれないか? ……美都」
彼から名前で呼ばれて、
「…………拓真さん」
私からも、思い切って呼び返した。
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