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「はぁ、…はぁ、…っ、見つけた!!」
怒りと涙が混ざった震える声。
瑞希が目を開けると、そこには膝を泥で汚し、髪を振り乱した絵名が立っていた。
突き飛ばした時に擦りむいたのだろう、彼女のストッキングは破れ、痛々しく腫れている。
「来ないでって言ったじゃん…!!」
瑞希は叫んだ。
「ボクは最低だよ! 絵名を傷つけて、突き飛ばして…ボクと一緒にいたら、絵名はもっとボクの色で汚れて、壊れちゃうんだよ! だから…ボクのことなんて忘れてよ…っ!」
絵名は、瑞希が置いたばかりの「可愛らしいウサギのシール」が貼られた封筒を、乱暴にひったくった。
そして、中身の便箋を引き抜くと、一瞥もせずに瑞希の目の前でバラバラに引き裂いた。
「……っ、なっ、何すんだよ! それはボクの、……!」
「こんなもの、私はいらないんだってば!!」
絵名は、破り捨てた紙片を雨の中にぶちまけ、瑞希の胸ぐらを掴み寄せた。
「……でもっ、ボクは……ボクの正体は、絵名の未来をめちゃくちゃに……」
「めちゃくちゃにされに、ここまで来たの!!」
絵名は瑞希を、二度と離さないほど強く抱きしめた。
「あんたが毒だろうが、呪いだろうが……あんたを一人で消えたりなんてさせない。私の隣で、笑え!!」
「えななん、本当に…わがままだなぁ…。えななんのとなりで笑ってろなんて…」
瑞希の願いが、「消えること」から「君の隣にいたい」というワガママに変わった瞬間だった。