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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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叶 「 それで? どこ行く? 葛葉。 」

葛葉 「 んー … そうだなぁー。 」


俺たちは、電子手帳の地図を眺めながら適当に足を進めていた。

どうやらこの地図、自分の現在地がゲームの地図みたく見えるみたいだ。方向音痴でも一安心ってか。

この施設の説明を軽くしておこう。結構広くて、色々なものがありそうだ。


・それぞれの個室 ・食堂 ・露店風呂 ・更衣室(男女別) ・倉庫 ・プール ・更衣室(男女別)

・ゲームリビング ・武器庫 ・視聴覚室 ・トイレ ・図書室 ・医務室 ・ゴミ捨て場

・体育館 ・体育倉庫


これくらい。結構 … いや、だいぶ広いな。

何処にしよう … んー、どうせなら行ったことがない所が良いし、


葛葉 「 じゃ、図書室でも行きますかー。 」

叶 「 お、良いね。くーちゃん寝ない? 」

葛葉 「 寝ねぇよ 」


なんでそうなるんだよ。そう笑って会話をしながら、俺たちは図書室へと向かった。

図書室 … 図書室か。広さってどのくらいなんだろうな、地図の枠の大きさ的に広そうだけど。ちょっとだけ楽しみだ。

そして十数分経って扉が見えてきて、俺はドアノブに手を掛けた。


葛葉 「 … うお〜! 」

叶 「 おぉ〜! 」


開いてみたらその先は、隙間なく本が詰め込まれた高い棚、紙とインクの香り、静かで澄んだ空気。

漫画とか、映画とかでよく見る風景だ。予想通りそこは広くて、図書室というか、もう図書館だ。


葛葉 「 広いなー、 」

叶 「 ちょっと数本読んでみない? 」

葛葉 「 お〜、じゃあ満足したら呼べよ? 俺も適当に読んでるわ。 」

叶 「 おっけ〜 」


そう俺たちは口約束をして、図書室の中で別行動を始める。

…と言っても、俺は別に読みたい本とかも無いし…暇になりそうだ。


葛葉 「 … あ、そうだ。 」


いや、あった。読みたい本。でも本と言うよりは調べ物か。

ここから出る方法。それを探そう。


そう考えてすぐ、俺は本棚周りを歩いたり、それっぽい所を漁り始めた。




葛葉 「 …… 全ッッッ然見つかんねぇ、 」


きっと読み始めて1、2時間。特にこれといった進展も無く、他の知識が増えていくばかりで、俺ははぁーーと深く溜息を吐いた。

俺が吸血鬼の王族として身に付けたマナーとかが載っている本程の量は読んでいないけれども、こういうしっかりしたのを読む機会は、配信者になってからは全然ないんだ。もう頭痛くなってきた、文字が多すぎて。

にしても、色々な種類の本があったもんだ。小説は勿論、図鑑、参考書 … そんじゃそこらが沢山沢山。

ほら、毒の種類とか、人間の構造とかいう奴もあったな。この殺し合い中に絶対読んじゃいけないタイプ。

中々に頑張ったと思うぞ、俺。眠いし … こんな静かだから。

少し仮眠でも取ろうか、叶はまだ掛かりそうだしな? ちょっとくらいは寝れるだろう。そう思って、俺はその場にしゃがんで瞼を閉じた。





叶 「 …… 葛葉〜、お前、絶対首痛いぞそれ。 」


頭上で相方のそんな声が聞こえ、薄らと目を開いた。


葛葉 「 … んぁ、あぁ … ? あぁ、終わったん 叶、 」


寝起きの掠れた声でそう問い掛け、顔を上げる。

あ やべぇこれめっちゃ首痛い 明日一日辛いかもしれないどうしよう。

瞬時にその考えが過ぎって後ろ首に手を当てた。すると、叶は ふはっと吹き出して笑い、それにつられて自分も笑う。いやでも、人が痛がってるとこ見て笑ってんだコイツサイテーじゃん。


叶 「 終わったよ、もう満足。言っとくけど、もう20時くらいだよ? 夕飯食べ行く? 」

葛葉 「 お〜 … 行く。 」


20時 … へぇ、20時、おっそ。どんだけ寝てたんだ俺 … 。

驚きよりも眠気が勝って、特にリアクションも無く、訊かれたことに頷いた。

叶は手を差し伸べてくれて、俺はそれを握って立ち上がる。


叶 「 おま、赤ちゃんかよw 」

葛葉 「 うるせぇ。 」




食堂に着いて、俺も少しは眠気が冷めてきた。椅子に座って机に頬杖をつきながら、退屈げにボーッと何も無い場所を見詰める。

そういえば、叶はどっちなんだろう。

シロかクロ。

いや、探った所で シロと言われるのが普通だ。それは周知の事実。

この不安をどう表せば良いのか、俺には分からない。だって俺にとっては、叶を疑うなんて相当しないことだし、叶も俺のことを疑うのは相当ないと俺は思ってる。

でもそれは俺だけの考えなのかもしれない。もしかしたら叶は、俺の信頼を何かに利用するかもしれない。


叶 「 ん、取り敢えずおにぎりやるよ、鮭と塩 」

葛葉 「 お、やった〜 」


まぁ、それも全部仮定の話だし、無いと信じるしかないよな。

叶から2つのおにぎりを受け取って、俺は何も無く口へと運んだ。

そして美味〜なんて言っていたら、前に座った叶がおにぎり片手に失笑する。


叶 「 お前さぁ … w ちょっとは疑えよ、毒が入ってるかもしれないでしょ? 」

葛葉 「 え? あぁ … w 」


予想外の言葉に思わず目を丸くして、咀嚼を止めた。

毒が入ってるかもしれないなんてそんな、


葛葉 「 お前に限ってそんなことしねぇだろ、俺に。 」


断言出来る。俺がズバとその言葉を口にして、またモグとおにぎりを食べ始めたら、叶は眉を下げて笑った。


叶 「 ったく … 僕のこと好き過ぎでしょ、葛葉。 」

葛葉 「 ハァ??? 」



その後もたわいのない会話を続けて、時刻は21時半。そろそろ夜時間だ、寝なきゃダメだな。夜時間はクロが動き出すかもしれないし … 。


葛葉 「 … 部屋戻るか、送るぞ。 」

叶 「 あ、そう? 気遣ってくれてる? 」

葛葉 「 まぁ多少は、 」

叶 「 否定されると思ってたんだけど 」


2人で笑いながら食堂を後にする。昨日までのことを振り返ったら、なんだかこういう時間が幸せなんだと実感出来る。

明日の夜までにまた死体を拝む … ことになるのか。きっと、なるだろうな。


叶 「 …ん、ありがとう葛葉。また明日。 」


そうこう考えていたら、いつの間にか叶の部屋の前だった。叶はガチャと扉を開け、此方へと手を振ってきている。


葛葉 「 …… おう、また明日。 」


俺はそう手を振り返して、扉が閉じるのをしかと見た。

また明日って … 現状で期待させるようなこと言いやがって、コイツ。

思わずそう笑いを零しながら、自室へと足を運んでいく。取り敢えず、ゆっくり寝よう。明日 … 殺人が起きる可能性が高いんだ。体力は温存しておかなきゃ。

サッサとシャワーを終わらせて、ベットに寝転がる。


葛葉 「 21時50分 … 。オーケー、寝よう。 」


最後に時計だけ見ると、俺は意識を飛ばした。

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