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ボスの部屋を出たところで、背中を壁側に倒して退屈そうに私を待つ中也が居た。
太「あぁ、居たんだ。小さくて気づかなかった」
中「あ”ァ?これから伸びんだよ!!」
太「もう19なのに?」
中「五月蝿ぇ!!」
何度目なのかと思うその会話をしながら、共通の目的地に向かう。
突き当たりの部屋まで行くと、静かに扉に手をかけた。
扉を開けてすぐ目に入ったのは、真っ白な髪に黒いメッシュ、それに溶け込む白い肌だった。
事前にボスも彼に会ったのだろう。
その証拠に彼のボロボロだった着衣は見当たらず、代わりに黒く厚い生地ハイネックと、黒いズボンを纏っていた。
壁に掛けられているのは、これまた真っ黒の外套。(BEAST敦くんっぽい感じ)
森さんが用意したに違いないと確信し、再び目の前の少年に目を向けた。
急に現れた私達に怯えているのか、小刻みに震え、両手で自身の体を抱えている。
太「ねぇ、君名前は?私は太宰治。好きに呼んで呉れ。あと、このチビは中原中也。なめくじって呼んでね〜」
中「おい手前!!!…」
そんな様子に少しだけ安堵したのか、静かに自分の名前を口にした。
「…、僕は、中島敦、…です。」
伏せ目がちだった瞳が、ゆっくりと此方に向く。朝焼けの空を閉じ込めたような美しい瞳に少々驚きながらも、強ばっている顔に笑みを返した。
敦「…太宰さんと、…中也さん、」
敦「貴方達は、僕を彼処から、連れ出して呉れたんですか」
太「うん、。正確にはボスの命令だけど」
敦「…それでも、僕を彼処から連れ出してくれて、…ありがと、ございました」
穏やかに、それでもって少し苦しそうに微笑む敦くんを見ては、またなんとも言えぬ甘い幸福感に溺れかけた。
…そっか。私、彼の苦しそうな顔が好きなんだ。
呆然とそんな事を思う。
中也が敦くんに事情を話し始めた。
中「てことで、手前は今日からポートマフィアに入ってもらう。…悪ぃが、、拒否権は無い」
敦「…僕を救ってくれたポートマフィアの為ならなんだってしてみせます」
“救ってくれた”か。
そう力無く笑う敦くんは、まだ何処か救われてない。
そんな彼の様子を見れば、一生過去の呪縛からは抜け出せないんだろうなと分かった。
其れが堪らなく嬉しくなって、無意識に不敵な笑みを零していた。
怯える君の、苦しいその表情が胸の内を満たしてくれる。
敦「えっと、その、今日からよろしくお願いします」
不器用な返事が可愛くて、優しい笑みを返してはその部屋を後にした。
中「彼奴、可愛かったな」
中也が思いがけない事をポロリと口にする。途端自分の中から禍々しい程の憎悪が芽を出した気がして、やっとその思いに気づいた。
太「私、彼の事を好きになってしまったよ」
中「…は、…っ?!」
中「…やめとけよ、手前の恋バナとか死んでも聞きたくねぇっての」
太「中也も敦くんのこと可愛いって言ったくせに」
中「それとこれはちげえよ。部下としての可愛らしさってもんがあるだろ」
まぁそんな事だろうとは思った、と気の抜けた返事をして、その場を後にした。
きっと誰に話しても理解されない恋心。
もっと彼の傷ついた顔がみたい。もっと壊したい。私だけのものにしたい。
そんな願望が全身を駆け巡る。
飢渇だったはずの心がやけに高鳴るのを感じて、再度自分の心を認識した。
私には君しかいない。
敦くん、もっと壊れて呉れないかい?
NEXT♡300(orやる気が出たら泣)
追記…太宰さんは苗字呼びなのに、中也さんは名前呼びにしたのは、本誌がそうだったためです!
なんか、中也さんって敦くんが呼んでるとこ妄想すると、もう、…ふ、ふふ、
…取り敢えず、定義としてそう捉えて頂ければ…、泣…すみません!