テラーノベル
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思いきりっきり死ネタになります…ご注意…。(; ;)
あの夜から、qnはよく俺に甘えてくるようになった。
例えば、俺の朝はqnにくらべて随分と早いのだが、起きようとするとしがみつかれて離れることができない。
夜も、絶対に俺より眠気がすごいはずなのだが、俺が夕飯を食べ終わり、寝る支度を整えるまでずっと家の中をついて回る。
精神が少し幼くなったのかもしれない。
まあ、五歳やそこらの時から親のいない生活を送っていたんだから、その甘えられなかった分がここに来たというのも不思議ではない。
外に出るときも、俺がqnを抱えて出ることになった。
もう、長時間歩き続けることはできないし、そもそも転んだりしたらどう命に影響してしまうかわからなくて怖い。
つまるところ、俺が心配するのだ。
qnはまだ自分で歩けると言い張るが。
―――散歩のたびに、軽くなったな、と思う。
ついに、完全に日光から栄養を取る段階に体が入ってしまったのだ。
俺が夕飯を食べ終わるまで待っているというのもそれだ。
辛くないんだろうか。食べ物を見ていて。他人が食べるのを見ていて。
やはり、明るい気分にはなれないはずだ。そう思って、しばらくできるだけぱっと食べ終わることのできるものにしていたら、隣で見ていたqnに、
「ねえ、もっと、時間かけて食べてよ」
と言われた。不思議に思って聞き返すと、
「mnが生きてる証拠じゃん。ごはん食べてるのって。見てると嬉しいんだよ。ちょっと自分が食べてる気にもなれるし。」
ああ、と思った。
自分はわかっていなかったんだな、と。
同時に思った。
本当に、qnも、花になってしまうんだな、と。
死ぬ前に、いろんなことがしたかった。
森の中ならおれたちも行動が許されているし、できる限りのところへ行った。
どこへでも、mnとなら行くことができた。
木漏れ日の溢れる森の中を歩けば、おなかはいっぱいになる。
小さい時、まだ五人そろって遊べた時も、こうしてよく森の中へ散策しに出たっけなあ、と昼寝前のふわふわする頭で考える。
おかげで森の中のことは知り尽くしているし、動物たちも餌をくれるとわかって寄ってくることがある。
もちろん、毎朝植物たちに話しかけて、水もやる。
あの夜の次の朝、雨は通り過ぎていた。濡れた花や葉がきれいで、その日はmnと一緒にずっと眺めていた。
いつ自分が外に出られなくなるかわからない。
mnに机といすを外に出してもらって、そこで日光浴兼読書をするようになった。
家に帰ってゴロゴロしているうちに寝落ちすると本当に夜まで寝続けてしまうことが増えた。
明らかに体重が減った。
足が動かなくなった。
目が時々めがねをかけていてもかすむようになった。
病状の進行といっしょに、もう夏は終わりに向かっていた。
朝起きたら、唐突に分かった。
多分、おれは、今日で死ぬんだ。
最近と比べてよっぽど体は動いた。最期とはこういうものなのかもしれない。
「mn」
「なんだ?」
「多分、今日だと思う。」
「…そうか。」
言われる前からそんな気がしてた。
qnに抱きしめられる。抱きしめ返す。
「外がいい」
「ああ」
外のいすへ。
森の木々が風にざわめく。
しばらく二人で景色を眺める。
「きれいだな。」
mnが不意に言う。
「うん」
「お前がな」
「えー?」
小さく笑う声が震える。
あ、だめだ。泣かないって決めてたのに。
お前がな、はずるい。
「mnはかっこいい!」
「はー?」
mnの声も震える。
「ふっ、」
二人の笑い声が響いた。
二人とも、泣きながら笑う。
「ねえ、今日はずっとふたりでここにいよう」
「さすがに俺腹減ると思うよ」
「がまんしてー」
「ひっど!」
ああ、この時間を手放したくない。
笑いあえる時間を。
そばには植物たち。
みんなと笑いあえる時間を。ずっと。
何時間も外にいた。笑い話を掘り起こしてずっと話していた。
みんな、植物たちも参加しているみたいだった。
西日がだいぶ傾いてきた。
「ん、眠い。」
「苦しくないか?」
「むしろ楽」
「よかった」
夏の残り香を運ぶ風が吹く。
「きれいだねー、」
「俺が?」
「mnもみんなもぜんぶ。」
柔らかい西日が射す。
やわらかい、陽射しに君が、
―――――とけてゆく。
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Aonri@ にゃ
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