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【 凪玲 】
HAPPY BIRTHDAY REO
急いで書いたので短いうえにいつも以上に拙い文章です。が、祝う気持ちはちゃんとあります。幸せになってね玲王。
「玲王って何か欲しいものある?」
凪にそう訊かれたのは先月のことだ。
ぶっちゃけ欲しいもののほとんどは簡単に手に入るから、これと言ったものは思いつかなかった。
「W杯優勝」
「それ以外」
「えー……特に無いな」
そんな会話を交わしていた。今思えば誕生日プレゼントに何を贈ろうかと探りを入れていたのだろうと思うが、そのときの俺は鈍かった。
ピンポーン。
白宝高校の学生寮、403号室のチャイムを鳴らす。
「なぎー、来たぞー」
玄関のドアが少し開き、凪が顔を覗かせる。
「いらっしゃい、来てくれてありがと。えーっと、なんで呼んだかはもう分かると思うけど……まあ入って」
凪に促されるまま部屋に足を踏み入れると、以前来たときは何も無かった部屋が風船やフラッグで飾り付けられていた。
「玲王、誕生日おめでとう」
「ありがと。これ全部凪がやったのか?」
「うん」
きっとそうだろうという予感はあったが、やはりめんどくさがり屋の凪がこの部屋の装飾をしたのだ。そう思うと感心せざるを得ない。
「ケーキ食べる?」
「おう」
「じゃあそこ座ってて」
通された席はもともと部屋にある机と一脚しかない椅子を動かしてテーブルに向かいあうような形になっていた。たぶん凪はベッドを椅子代わりにして座るつもりだろう。
冷蔵庫からケーキを取ってくると凪も席に着いた。
「どっちがいい?」
見せられたのは苺の乗ったショートケーキと、表面がてらてらと光るチョコレートケーキだった。
「ショートケーキ」
「りょーかい」
紙皿にケーキを移すと、凪はスマホを取り出してカメラを俺のほうに向けた。
「撮らしてよ、ビデオ」
「いいぞ」
ピッと音が鳴ると、凪は歌いはじめた。手拍子を打ちながら俺も歌う。
「──ハッピーバースデートゥーユー……おめでとー、レオ」
「凪、ありがと」
カメラに向かって笑顔を作ると、もう一度ピッと音が鳴った。
「はい、撮れた」
「もう食べていいか?」
「うん」
ケーキを食べた後、たわいもない話をしていれば時刻は16時を過ぎていた。
「そろそろ俺帰るわ」
「あ、じゃあ渡すものある」
「ちょっと待ってて」と言うと凪はどこに隠していたのか、花束を持ってきた。
「改めて、誕生日おめでとう、玲王」
「ありがとな、凪」
凪が差し出した花束を受け取る。
「ところで、なんで花束にしたんだ?」
「玲王、欲しいもの無いって前に言ってたから形に残らないものが良いかなって」
「お前そんなこと考えてたのかよ?俺は凪から貰ったら何でも嬉しいぞ」
「……でも贈りたかったの」
「ふふ、嬉しいよ、ありがとう」
凪からプレゼントを貰った嬉しさを噛み締めながら、俺は鞄を持って靴を履いた。
「忘れ物ない?」
「大丈夫。今日楽しかったわ、またな」
「またね。気をつけて帰って」
凪は玄関の外で俺が見えなくなるまで手を振っていた。
「お帰りなさいませ、坊ちゃま。……そのお花は誠士郎さまからですか」
「うん。ばぁや、この花とっておきたいんだけどどうしたらいい?」
「それでしたら──」
坊ちゃま、決して口にはできませんが──ばぁやは花を見て確信しました。
誠士郎さまは坊ちゃまが思っているよりも坊ちゃまのことを愛していますよ。
「坊ちゃま、気が向いたら花言葉を調べてみてはいかがでしょう」