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『ふーん?じゃあ、別れよっか。』
……………
「え…………………????」
…なんで、こいつがショックそうな顔してんだろ。裏切られたのは俺の方なのにな。
あームカつく。うぜ。
俺は春千夜の首に 手を掛けた。
「ら、ん…?」
その瞬間、俺は春千夜の首を ぎゅっと締める。「かひゅ…っ」と春千夜の喉から、出てはいけないであろう音がした。
「ッッ゛……!?!?」
『春千夜が悪いんだからな?? 大丈夫(笑)殺しはしねぇから。その代わり、死ぬ気で反省しろよ。そんでもって別れよ。』
「っ…ぁ゛…!や゛ッ…ぁ゛あ……っ…!」
『 “ヤダ” ? 好きでもないくせに、付き合ってる意味なんてなくね??』
「っが……、すぃ゛…!す゛き゛……!ぁ゛…」
『好きなんかじゃないくせに…。仕事って言って、他の女と会ってるし、俺に嘘ついてばっかじゃん。』
「だかぁ゛…!はなし、き゛けっ、てぇ゛……!」
『…………。』
まあ、どうせもう別れるんだし、コイツのバカな言い訳くらいは聞いてやるか…。
俺は、春千夜の首から手を離した。
「かはッ……!? げほっ…こほっ…」
何度も何度も、咳を混む春千夜。
かなり強く締めていたから、酸欠 故に苦しかったんだろう。
まぁ、罰なんだし、このくらい苦しんで貰わないとね。
『話 聞いてやるから さっさと話せよ。はぁ〜、お前みたいな浮気者の話 ちゃんと聞いてやる 蘭ちゃんやさし〜〜』
「けほッ……けほ…っ…」
『……………。』
…あと何秒待てばいいの、これ。早く終わらせたいんだけどな〜。
ごッッッ……!
鈍い音が 寝室に鳴り響く。
俺は、咳き込む春千夜を また殴った。
「い゛ぁ゛……!?!? …や、やめ……殴んないで…くださ…っ…」
…あーあ。泣いちゃった。
もう耐えられなくなったのか、春千夜の目から、雫がボタポタと垂れてくる。
泣いて許されるわけでもないのに、綺麗な顔がどんどん ぐしゃぐしゃになっていく姿はなんとも無様で。見ていて、気持ちがよかった。
『ちゃんと ”お願いします” って出来たのは偉いじゃん。いーよ、殴んないであげるから、さっさと話してくれる?』
………
「っ…ぅ゛…。おれ…うわきなんて…してねぇのに……」
『は?まだそれ言う??いい加減、それ飽きたんだけど。…じゃあ、夜中、一緒にいた女はどうやって言い訳すんの』
「ぇ…?あ、アイツは…!に、んむで…ッ…。あのオンナのこと、おとせ って…まいきー がいうから…」
…………………え。
『え、まって。どういうこと…????』
「まいきーが…ッ…。ぅ…。てきそしきの ぼすのむすめだから…てにいれられたら…っ…ぼんてんの りえきになるって、いうから…ぁ…!」
『簡単に言えば、ハニトラってこと……??』
「そ、だって…言ってんだろぉが…。っ……」
???? いや…そんなまさか………。
で、でも、仕事なら普通にあり得る話だし…。
俺はすぐさま、首領に確認の電話をかけた。
『…ぁ、首領〜??春千夜にハニトラの任務頼んだって…マジ…?』
「確かに、一週間くらい前に頼んだな。それがどうかしたか…?」
っっっっ、え、嘘でしょ………。
じゃあ全部、俺の勘違い…??ほんとに浮気なんてしてないってこと…??
「…………なんか後ろの方で誰か泣いてないか…??お前いまなにして…」
『んえ、!? 泣いてる??いやだな、首領〜…そんなわけないじゃ〜ん…。はは…。』
「で、でも…」
ピー
首領がなにか察してしまう前に、俺は、すぐに通話を切った。
『は、春千夜…。』
相当ショックだったのだろう。ベッドの上でぐずぐず泣いている。
『ほんっっっっっとに ごめん…!!!!!』
「ぅう…っ゛…。おれ、なんもウソついてねぇ、のに…。しごとだって いったのに…。」
……返す言葉もない…。
こんなの謝っても謝りきれない…。
俺の勘違いだっていうのに、恋人の話も聞いてやらずに、殴って…首まで絞めて…。全部 冤罪なのに、”罰だから痛くても仕方ない” とか…。
彼氏として…それ以前に人間として 最低だ。
春千夜の顔には、何箇所も そのうち痣になってしまうであろう、赤みを帯びた箇所がある。
首にも…跡がついてしまっていた。
『ごめん…。春千夜も俺のこと 思う存分 殴っていいから…。そういう問題じゃないのは 分かってるけど、それでも…少しでも 気が済むなら、好きなだけ殴っていいから……。』
その言葉に反応したのか、春千夜は泣きながらも 俺のそばに来て
「クズ…!クソ野郎…!!俺が好きなのはずっと蘭だけなのに…!!しね…!」
なんて怒鳴りながら、ボコボコ 容赦無く殴ってきた。
…なんとも言ってる内容が可愛らしいと、こんな時でさえ思ってしまう俺は、そろそろ末期なのかもしれない。
それから数分間…俺は春千夜の言葉に耐えながら、殴られ続けた。
…そろそろ春千夜の方も疲れてきたのか、殴るのをやめ、俺の胸板に身を預け始めている。
『怖い思いさせて、ごめんね…。』
「……それは もういいから、”別れよう” なんて二度というんじゃねぇぞ…」
『………え、別れたくないの?』
普通、ここまでDV紛いなことされたら、「別れたい。」って思うはず。
実際、俺も、別れを告げられる 心の準備をしていた。
「…だって、俺、蘭のこと好きだもん……。」
はぁ〜〜〜〜。
なんで俺は、こんな愛おしい子を疑ってしまったんだろうか。俺の一生の恥といっても過言ではない。
『春千夜が一緒に居ていい。っていうなら、俺はずっと春千夜といるよ。』
「居ろ。また、”別れよう” とか言いやがったら、スクラップにするからな…。」
『ん…そんな日、もう二度と来ないから大丈夫。』
春千夜の後頭部を優しく…怖がらせないように 撫でてやった。
すると、よっぽど安心したのか、瞼を閉じ、少し時間が経てば、そのまま眠りについてしまった彼。
まだ、頬に垂れている涙を、そっと拭き取ってやれば、そのままベッドの上に寝かせてあげた。
『俺のせいでごめんね…。愛してる。』
俺は、可愛らしい寝顔をする、世界一 愛おしい恋人に、そっとキスを落とした___。
コメント
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泣きながらみてたよォ感動(T ^ T)あのね夢小説で泣くのはうち結構ありがちなんだけどキャラのセリフ言いながらだともっと感情移入して泣けるよ
ぶっ倒れるくらい好き
んふんぉっほほっほ軽く泣いた。 もうこんな最高な作品ある??はにゃ??もうやだ、、愛した(???)😎💕💕💕