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なんで、こんなことになっちゃったんだろう。

なんで、あんなこと言っちゃったんだろう。

なんで………

なんで私は日本なんだ。








私はあの時、欧米の近代国家に追いつくため、ヨーロッパ諸国やアメリカなどを周り研究していた。

そして、ある人の言葉を聞いたとき、これまでにない程体が熱くなるのを感じた。

周囲の国に合わせているだけでは駄目なのだと。世界は広い。常に頂を目指し、他国を圧倒する程でなければ、私は私でいられなくなる。

身勝手で傲慢な生き方をしていいのだと、私はそんな言葉を待っていたのかもしれない。

私の運命を変えてくれた人。

あれからずっとずっと好きで、大好きで、、。

いつしか尊敬の念は、流れゆく時と互いの間接的な交流の中で、個人としての“好き”に変わりどんどん膨れ上がっていった。

目が綺麗で、欧州の人特有の深い青の瞳が好き。誰よりも真面目で一生懸命なところも好き。実は甘いものが大好きで、菜食家なところに親近感が湧く。背が高くて格好いい。筋肉つきやすいの羨ましいなあ。私なんて、あの人よりずっと昔から鍛えているのに目に見えてこないんだから。建物の絵描けるの凄いな、それでいて苦手な物は絶対描かないってところが、あの人にも子供っぽいところあるんだなって、母性くすぐられる。あの制服のデザイン本当に格好いい。私が着たら着せられてる感とか出るんだろうな。あの人だから格好よく見えるんだろう。それなのにあの人、本当は「もっと可愛い服の方が良い」だって。ふふ。へ~意外、あの人むっつりなんだ。いつか変態プレイとかしちゃうのかな。体臭が独特なところも好きだな。いつかあの人の匂いとそっくり同じ香水をつくりたい。ドイツ語というのはなんであんなに格好いいのか、、あの言語で囁かれたら一瞬で落ちてしまう。


こんなにあの人のことが好きなのに、

私はあの人に一度も、自分の気持ちを伝えたことが無い。

あの人を好いていると読みとられてしまうような素振りも。

したことがない。

いや、

できないのだ。

なぜなら私は、日本という国家そのもの。

欧米列強と同じ土俵に立ったからこそ、自国が低く見られるようなことをしてはいけない。

私があの人に自分の気持ちを伝えたとしても、きっと私の望む未来にはならない。

最近、イタリア王国が裏切り、サロ共和国となった。

そして、改めて思い知ったのだ。

私は、あの人と“対等”な関係でいなければ。

あんな醜態をさらすものか。

あの人とは友人でいよう。と、

そう決心をした矢先、私は気付けばここにいた。


見渡す限り白。

窓もドアらしき部分も見あたらない簡素な部屋に、一人で寝るには大きすぎるであろうベッドが1つ。どん。と置いてあった。

壁の上部に書いてあったが、この部屋は性行為をしないと出られないらしい。

それを見て私は第一に「この部屋の中は、誰かに見られているのかな」なんて考えてしまった。

つまり、それは……、あの人と催すという選択肢を……………

私の硬く結んだ心はいとも簡単に緩み、ほつれた。

ほつれた糸は一直線になり、その先はあの人に繋がっている。

私はそんな糸切ってしまいたかった。

国を捨て己の欲に従ったということをあまりにも許せなかった。

自分の不甲斐なさに失望した。

ズタズタに切り刻んだ。

しかし、私が刃を向けた先は糸ではなく、あの人の心だったのだ。

自分への怒りを、憎悪を、失望を、あろうことかあの人に押し付けてしまった。

私……何してるんだろう、

こんなんじゃ、恋人どころか友人ですらいられなくなってしまう、

一人で勝手に好きになって嫉妬して……いっそのこと、誰にも見られていないのなら、私から誘ってしまえば良かった。

そうだ。私は最初から糸を切るつもりなんて端からなかったんだ。

セックスしないと出られない部屋

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