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パーティーだ、パーティー!
今日は楽しいモンスター達のパーティーだ!
何てったって、今日は特別な日だ!とあるモンスターのバースデイパーティーだ!
人間達が月へ再び帰ってから、少し落ち着くとスケルトンはまたパーティーを開いた。
スケルトンがパーティーを開催するには、少し早い気がするが一体どうしたのだろう?
「やあ、ユニ。元気かい?」
ポキポキと音を鳴らして、スケルトンがこちらへやってきた。
「スケルトン。今日はお招きいただき、ありがとう。ところで、今日のパーティーはいつもと違うね。なんと言うか、華やかな感じがする」
「ふふっ、そうさ!今日は特別な日だからね。盛大に祝わないと!」
「特別?」
「【ユニ】が真のモンスターになった特別な日さ! そうだろう?」
そうか、このパーティーはぼくのバースデイパーティーだったのか。
「モンスターハッピーバースデイ! おめでとう、ユニ」
スケルトンは拍手をすると、軽いポキポキとした音が響いた。
ドスンッドスンッ
巨体な体で歩いてきたタイタンが、ぼくに向かって祝辞を言う。
「ユニ、お前も立派なモンスターになったか。今日は盛り上がろうぜ~!!」
「タイタン。君、少し酔ってないかい?」
「こんな日が来るかもと、人間が去ったときに置いていった葡萄酒を飲んでいるのさ」
「ふうん」
主役はぼくなのに、他のモンスター達の方が盛り上がっている気がする。
ぼくがつまらなそうに暇を持て余しているときだった。
ぼくの大っ嫌いな大きな獣のようなモンスター達がこちらへやってきた。
「よお、ユニ。お前、ハッピーバースデイなんだって?」
「少しはモンスターとして、ましな存在になったのかよ」
「無理無理、だってあのユニだぜ?」
こいつらは他のモンスターのバースデイでも、いちゃもんをつけてくるのか。ご苦労なことだ。
ぼくの態度が気に食わなかったらしい。
獣のモンスターは大きく肩を揺らして歩いてみせた。要するに威嚇をしているのだ。
でも今のぼくには、ちっとも怖くない。
すると、怯えないぼくを見て面白くないと思ったのだろう獣のモンスターがこう言った。
「いっつもみたいに化けるしてみろよ。まあ、すぐに化けの皮が剥がれちまうんだけどな」
こんなモンスター達を相手にするなんて面倒なだけだが、こいつらに一度ぎゃふんと言わせたい。
仕方ない、化けるしてやるか。
黒い影に覆われたのっぺらぼうの姿から、ぼくは化けるをしてみた。
人間のような姿になったが、肌は一際雪のように白く、口から牙を覗かせる。
ふたつ揃った目の下に青黒いクマをこさえて、人間で言うきれいな装束を翻した。
この獣のモンスターの天敵・吸血鬼ヴァンピールに化けるしてみた。
すると分かりやすく目の前にいる獣のモンスター達は動揺した。
「あっ、あっ、吸血鬼?! 何で、奴らは絶滅したはず。ひいいいっ」
一体の獣のモンスターがその場で腰を抜かした。
「うわああああ」
「な、なんだ?!」
ほかの獣のモンスター達もその場から、命からがら逃げ出した。
ぼくの中で達成感が感じられたが、トウリを脅かしたときのような高揚感は得られなかった。
やっぱり驚かす相手は、人間に限るな。
そんなことを考えていたときだった。
ポキポキポキ
と聞き慣れた音が響き渡る。スケルトンがぼくに向かって拍手をしている。
「すごいね、ユニ。いつの間に、そんな化けるができるようになったのかい。何かイマジネーションを感じる出来事があったのかな?」
スケルトンは気づいている。ぼくが人間と接触していたことに……。
それでも特に何も言わないのは、喜んでくれているからなのだろうか?
「うん、いいことがあったよ。もっと化けるを練習したいなあ」
「驚かす相手なんて、同族しかいないのに?」
分かってて聞くのは、意地悪だなと思いながらぼくは答えた。
「もうすぐ、脅かす相手がたくさんやってくるよ」
「そうか、それは私も気合いを入れて準備をしなくてはいけないね」
スケルトンは嬉しそうに笑っているように見えた。