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⚠️泣きますよ?
――乱歩視点
その日も、社の資料整理の名目で、
僕はひとり、古い図書室の奥にいた。
埃っぽくて、誰も使わないこの部屋は、ポオ君が一番好きだった場所。
たぶん、探してたんだ。
彼の声じゃない、“何かの痕跡”を。
そんな時だった。
ふと、棚の奥に、一冊だけ背表紙のない古本を見つけた。
装丁も朽ちて、表紙も消えてる。
でも、なんとなく引き寄せられるように、手に取った。
ページを開いた瞬間、
僕の胸が、ぎゅっと潰れた。
そこには、こう書いてあった。
『タイトル:君を見つけた日』
著:ポオ
──それは、明らかに彼の筆跡だった。
ページをめくるたびに、
そこに“ポオ君の声”があった。
彼が乱歩と出会った日、
たい焼きを半分こした時、
何も言わずに手を握った時、
自分の死を悟ってから、最後に何を遺すか迷った夜のことまで。
すべてが、物語の形で綴られていた。
そして――最後のページには、こう書かれていた。
「乱歩へ。
この本を君が読む頃、
僕はもう、君の手の中にはいないと思う。
でも、
君がこの物語を読み終えたら、
その最後のページにだけ、
僕の“本当の声”を残しておきます。」
乱歩は、息を止めて最後のページを開いた。
そこには、
震えるような文字で、たった一行だけ。
「乱歩、君のことが、愛しかった。」
ページが手から落ちた。
本が、膝の上で静かに閉じた。
乱歩は笑っていた。
でも、その笑顔は、ぐしゃぐしゃで、
涙が頬を何度も伝っていた。
「……ずるいよ、ポオ君。」
その日から、
乱歩はその本を、誰にも渡さず自分の机の引き出しにしまっている。
そして時々、一人で読み返しては、
ページに指を滑らせて、そっと呟く。
「ねえ、ポオ君。
また僕に嘘、ついたでしょ。
“愛しかった”じゃなくて、“愛してた”でしょ。」
ページは答えない。
でも、その沈黙の中に、
ポオの声が、確かに聞こえた気がした。
ありがとうございます
こういう系は苦手だったので…
いいね待ってます