テラーノベル
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無事に日経平均株価も相当な値を戻し、TENGAも安泰。インデックス投資しているものも、そのうち値段が戻るはず。安心してみていればいい。
「睦月、来客だけど通していいか?」潤が僕に声をかけてきた。
「誰?」
「フジノの水島だ。話があるって」
「え”。もう結果出たのかな」
「さあ。入ってもらうぞ」
「うん」
商談スペースの方に案内してもらい、水島と対面した。
「昨日はありがとうございました。プレゼン、お疲れ様でした」
お。普通だ。いつもみたいにトゲトゲしていない。
「いえ、こちらこそ」
恵奈がアイスコーヒーを運んできてくれて、僕たちの前に置いてくれた。どうぞ、と水島に勧めた。
「単刀直入に聞きます。缶詰のアイディアは天川社長、あなたのものですね?」
「はい。そうです」
「未来スーパーと被っているから、どちらかがアイディアを参考に――というより盗んで企画したのでしょう。で、それはあちら側だと」
「証拠ありますが、要ります?」
潤がもう犯人を突き止めてくれたのだ。僕の予想通り、マルヨーの社員でお金に困っていた人物が企画の案を盗み出し、未来スーパーに流していたんだ。それを裏から操っているのは翠子だ。
「いや、結構」水島は手を振って断ってきた。「正直弊社としましては、企画が良ければなんでもいいのですよ」
身もふたもない言い方だな。でも、ビジネスとはそういうものだ。
「じゃあ、どのようなご用件で?」
「海外展開は諦めてもらえますか」
は!?
「そ……それをわざわざここに言いにきたんですか?」
頬がひきつった。突然海外展開諦めろとかなに言ってんだよこいつ!
「失礼」水島は含み笑いで僕を見ている。「天川社長があまりに驚かれて……くくっ」
ほんと失礼なやつ!
なんなんだよっ。
「からかいに来たのか商談に来られたのか、どちらですか?」
「商談に決まっているでしょう。こちらも暇じゃありませんから」
含み笑いを消し去り、彼は僕の前に身を乗り出してきた。
「天川社長、海外展開をやめろと言ったのは、正当な理由があります」
「お聞かせください」
冗談でやめろと言っているわけではなさそうだ。
「理由1。まず、輸送コストです。現地で同じように作られたらよいですが、この缶詰を日本で作って海外に輸出するとなれば、割高になりますね。こちらがいちばん懸念したところです」
「コストがかかるのは仕方ありません。良いものを届けたいのです。昨日彼らのものとこちらの缶詰を食べ比べてみて、うまいと思ったでしょう?」
「はい。味だけで勝負するなら、未来スーパーに勝ち目はありません」
「でしたら――」
「味だけが良ければ、値段が吊り上がってもいいという考えはいけませんね」
水島は挑発的だ。ほんとカチンとくる言い方がうまい男だな。
コメント
1件
みぅです🤍 読んだよ、第89話。 水島、相変わらずカチンとくる言い方するなあって思ったけど、今回はちゃんと商談に来てくれてて少しホッとした。海外展開やめろって言われて睦月が固まるシーン、思わず笑っちゃった。でも「含み笑い」って…水島ってほんと性格悪いよね(笑) 輸送コストの話、ちゃんと現実的なんだなって思った。缶詰の味だけで勝負できるってのは、やっぱり睦月の企画力の証だよね。 次も楽しみにしてる🌙