ファンタジーアメ日帝です!!
思い付きで書いたからマジで誤字とかあるかもしれません……!!
視点無し
小さな小さなある国の、深い深い森の奥。
決して人が立ち入らぬそこには、泣き虫な怪物が住んでいる。
夜闇のような蒼の髪。月のような金の瞳。爪も牙も鋭く長く、額から生える角は、大きく歪に伸びている。
人には有り得ぬその姿。誰もが恐れるその姿。
怪物はいつも鳴いている。深い深い森の奥で、たった一人で鳴いている。
怪物は鳴いている。森の泉の水面に映る、自らの姿。そのおぞましい異形の姿を見つめては、たった一人で鳴いている。
泣き虫な怪物はいつも一人。誰もが怪物を怖がって、誰もその森を訪れない。
怪物はいつも一人。一人で死ぬことも出来ぬまま、今日も一人で鳴いている。
日帝「どうしてあなたは泣いているの?」
ある日突然にかけられた声。
誰もいないはずの森の奥。そこに現れたのは一人の少女。
黎の髪。花のような紫の瞳。角も牙も持たぬ、小さくか細く儚い少女。
おぞましい怪物の姿を見て、少女は優しく微笑んだ。
それは深い深い森の奥の出会い。
それは怪物の世界に現れた光。
アメリカ「恐ろしくはないの?」
怪物の問いに、少女は首を傾げる。
日帝「一体何が?」
アメリカ「俺のことが」
怪物がそう言うと、少女は不思議そうな顔で言う。
日帝「どうして恐ろしいと思うの?」
何てこともないかのように、少女は救いの言葉をくれる。
怪物は泣いている。微笑みながら。
少女は優しく笑いながら、怪物と共にいる。
それは、他愛も無いささやかな日々。
光に満ちた、温かな日々。
怪物は鳴くことも少なくなった。
怪物が住まう森の中。森に生きる獣達は、当たり前のように生きて死んでいく。
怪物は泣いている。その死を見つめてまた鳴いている。
日帝「あなたは本当によく鳴くね」
少女は怪物に寄り添い囁く。
日帝「私はこんな風に死ねはしないから」
死を知らぬ怪物は鳴きながら言う。
日帝「私は泣いたことなんてないわ」
少女は儚く笑いながら言う。
日帝「泣き方は忘れてしまったみたい」
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二人で過ごす日々は流れてゆく。
怪物が得られないはずだった日々。
奇跡のような幸福の日々。
泣き虫な怪物は泣いている。その幸せに涙を零す。
怪物はまだ泣き虫なままで、少女はまだ泣けないままで。
怪物は何一つ変わらなくて、少女はますますか細くなって。
森の花々が散るよりも早く、少女の命の刻限が迫る。
吐き出した血は鮮やかに紅く、痩せ細る体は枯れ木のようで。
歩き回ることも出来ぬ身で、それでも少女は笑顔を浮かべる。
日帝「鳴かないで」
と少女は言う。
日帝「ここに来る前から、こうなることは決まっていたの」
日帝「そして私はもうずっと前に、それを受け入れているのだから」
怪物は鳴いている。少女の手を握り鳴いている。
日帝「ごめんなさい」
と少女は言う。涙を零す怪物を見上げ、儚く笑いながら言う。
日帝「治らないと言われてから、誰もいないところで死のうと思ってここに来たの」
日帝「だけどやっぱり一人は怖くて、あなたに縋ってしまった」
日帝「あなたは優しいから、私が死ぬ時に、こうして泣いてくれることも分かっていたのに」
日帝「ごめんなさい」
と少女は繰り返す。
日帝「もっとあなたといたかったけど。ずっと一緒にいたかったけど。あなたを悲しませてしまうけど」
日帝「私はとても幸せだった。あなたと出会えて幸せだった」
日帝「――あなたのことが、大好きだった」
少女の瞳から、一筋零れる涙の雫。
その瞳が閉じる刹那。
柔らかな温もりが、唇に触れた。
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