甲斐田side
甲斐田「着替え貸すったって、サイズが合うやつあるかぁ…?」
弦月「小さい頃着てた服とかとってないの?」
甲斐田「小さい頃着てた服…」
長尾「それとかいいんじゃね?」
甲斐田「おっけー、出てくる前に置いてくる!」
弦月「うん!」
長尾「うぃー」
コンコン
甲斐田「入るよー?」
返事は返ってこない
甲斐田「ここに着替え…」
お風呂場からシャワーの音とその中にすすり泣く声が聞こえる
あの状況で怖くないはずない
甲斐田「っ…」
彼が着ていた服はドロドロに汚れている
その服を持って代わりに着替えを置く
甲斐田「着替え置いとくからね…」
小さく呟きその場を去った
そのまま洗面所で服を洗う
弦月「なにしてんの?」
弦月が様子を見に来る
甲斐田「いや、まぁ、泥まみれでそのまま洗濯できないなと思って」
弦月「…そっか」
弦月「それ終わったらちょっと話そう」
甲斐田「…うん」
服を手洗いし洗濯機にかける
リビングで待つ2人の元に向かう
長尾「よし、来たな」
弦月「とりあえず、さっきの人のことは少し時間かかるけどこっちで何とか出来そう」
甲斐田「うん」
弦月「で、ヒナタくんなんだけど、禍祓では成績トップ、母親しかいなくて虐待されてるらしい」
甲斐田「…」
長尾「…」
弦月「あと、」
長尾「なんだ?」
弦月「Subだって」
甲斐田「だからっ…あんな震えて…」
甲斐田「抵抗もしないで…っ」
2人に背中をぽんとさすられる
甲斐田「でも、なんでそんな…いつもの事って」
長尾「成績優秀で顔立ちもいい、禍祓でそれを良しとしないヤツらがDomと一緒に組んで…」
弦月「動画撮って…売ったり、してる」
長尾「最初はかなり抵抗して、そういうのが好きな層に受けてたらしいが最近は抵抗すらしなくなって動画映えしなくなった…」
甲斐田「だから、直接しに来るようになった…?」
弦月「うん…」
甲斐田「それってどれくらい…」
長尾「一応調べて出てくる範囲の1番古い動画で、1年前だな」
甲斐田「1年前…」
弦月「こういうこともあってきっとSubってバレたくないだろうから、知らないフリしよう」
甲斐田「うん」
長尾「あぁ」
甲斐田「…」
甲斐田「どうにかしてしばらく僕の家にいて貰えないかな…」
長尾「お?面倒見んのか?」
甲斐田「まぁ、家に連れてきちゃったし、勝手に首突っ込んだのも僕だし」
弦月「ハルくんなんだかんだ面倒見いいもんね?」
甲斐田「うるせっ」
ガチャ
ヒナタ「あの、お風呂、ありがとうございました」
弦月「あっおかえり〜」
ヒナタ「あの、服も、洗濯も…」
甲斐田「あ、勝手に洗濯しちゃった、大丈夫だった?」
ヒナタ「はい、あ、ありがとうございます」
長尾「服のサイズも大丈夫そうだな」
ヒナタ「はい…」
甲斐田「…ご飯にでもしますか!」
長尾「わーい!焼肉ぅ!」
甲斐田「焼肉はない!」
そんな歯切れの悪い会話をしながら、夜ご飯を食べる
ヒナタside
目の前に色とりどりの野菜が入った鍋が出てくる
長尾「よっしゃ!いただきまーす!」
甲斐田・弦月「いただきまーす」
ヒナタ「…い、いただきます」
弦月「ヒナタくんどれ食べたい?苦手なものある?」
ヒナタ「あ、なんでも食べれます…大丈夫です。」
弦月「そっか!なんでも食べれてえらいねぇ、はい」
ヒナタ「あ、ありがとうございます」
長尾「とぉじろぉーおれもー!」
弦月「あなたは自分で入れなさい」
長尾「えー!」
テーブルに笑いが広がる
僕も笑わなきゃ…
ヒナタ「あは…これ、美味しいです」
正直に言うと上手く喉を通らない
食欲もない
けど、作ってくれたから食べないと
甲斐田「よかった!時間かかってもいいからゆっくり食べてね」
ヒナタ「え…」
甲斐田「ちょ、だれぇ!?僕の皿にトマト入れたの!!」
長尾「ガハハ!!」
すごく時間がかかったけどご飯を食べることが出来た
3人もペースを合わせてくれて…
わかってたんだ、僕が食欲無いこと…
ヒナタ「ごちそうさまでした、ありがとうございます」
甲斐田「お粗末さまでした!」
3人が優しく微笑みかけ てくれる
ヒナタ「あ、僕!片付けます!」
弦月「いーのいーの!お客さんなんだからゆっくりしてて!」
長尾「そうだぞヒナタぁこれくらいくつろいでいいんだぞぉ」
そう言いながらその場に寝転がる
甲斐田・弦月「お前は手伝え!」
長尾「はぁーい…」
ヒナタ「あはっ!ははは!」
甲斐田・長尾・弦月「「!」」
甲斐田・弦月「ケイ(くん)ないす!(小声」
長尾「うぃー(小声)」
コソコソと優しく笑う3人がグータッチしてるように見えた
片付けもひと段落つき、夜も深けてきた
弦月「じゃあ、僕達はそろそろ帰ろうかな」
ヒナタ(え…)
長尾「また明日来るわ!」
ヒナタ(え…?)
甲斐田「うん、じゃあ気をつけてね」
ヒナタ「あ…」
弦月「…ハルくんは悪い人じゃないから大丈夫だよ」
頭をぽんと撫でられる
長尾「すぐ寝ちゃえば話さなくたっていいんだから!」
ヒナタ「いや…」
ヒナタ(それもそれで…)
甲斐田「不安だったら2人にも泊まってってもらおうか?」
ヒナタ「え…いや、これ以上ご迷惑をおかけできません…大丈夫です」
弦月「…明日朝から来るからね」
ヒナタ「はい…ありがとうございました」
長尾「おう、じゃあな!」
甲斐田「じゃあね!」
2人きり、は、何話せばいいかわかんない…
甲斐田「よーしっ…2人も行ったし、アイス食べちゃう?」
ヒナタ「へ?」
甲斐田「ハーゲンダッツが2個だけあるんだなぁ、これが」
少しいたずらっぽい顔でアイスを出してくる
ヒナタ「ぁはは!食べます!」
案外心配いらないのかもしれない
2人でテレビを見ながらアイスを食べ、談笑する
かなり慣れてきていい人だということを実感する
つづきます
コメント
1件
ぬわあああ最高です!!ヒナタくん笑った…!!かわいい…!!!