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【アラスターside】
彼女をからかうのは本当に飽きない。
出会った頃から戦闘では私と同格に渡り合い、どこか周りの悪魔たちを守ろうと気に掛ける余力を残している。
初めこそその甘さを鼻で笑い、それを自覚して挫折するところが見てみたいと思ったものだ。
しかし何度手合わせをしても、彼女は折れずに私の力に食らいついてくる。
競り合いを繰り返すうちに、その強さがどこまで私に近づけるのかが楽しみになっていた。
それ以外にも、彼女の料理、作り出す曲、淹れるコーヒー。
私の好みと合致する部分が日に日に見つかり、気がつけばつい部屋へ足を運ぶほどには居心地がよくなっていた。
アラスター「この生地で、コートを一着仕立てて頂けますか?」
行きつけの仕立屋でたまたま目にした生地の模様と色味が、不思議と彼女を連想させる。
贈り物などらしくないとは思いつつも、気づけば彼女用にと注文を進めていた。
アラスター(理由など、後からなんとでも作ればいい)
彼女はきっと、理由もない贈り物を素直に受け取ったりしないだろう。
それでも私の言葉にあれよあれよと乗せられて、最後には受け取るのだ。
その反応を想像し、その手に渡す瞬間が今から楽しみになった。
それから1週間が経ち、コートを受け取りに彼女と共に街へ出かける。
隣を歩く彼女は、他愛のない会話の中でも柔らかく笑う。
戦闘中に見せる、自分を鼓舞するような・・・あるいは敵を威嚇するような笑みとは違う。
警戒心など微塵も感じさせない、心を許したような笑顔で。
〇〇「あそこのコーヒー美味しいものね」
〇〇「ありがとう、アラスター」
アラスター(本当に、貴女はどこまでも悪魔らしくない)
汚れた魂の集う無法地帯には、あまりにも不釣り合いに感じる。
こんな風に他人に心を許すなど到底考えられないが、この距離感はそう悪くは思えなかった。