テラーノベル
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寒くて、寒くてどうしようもなかった夜のとき。パワーに隠れてこっそりアキの部屋を覗いたときがあった。
「…デンジ?どうした?」
アキは読んでいた本をパタンと閉じ、ベットの横にあるサイドテーブルに優しく置いた。
「寒くて寝れねぇ」
ポチタがいる頃はどれだけ寒くても平気だったのに、今となってはこの時期の寒さは眠れないほどだった。
「…こっち来い」
そうぶっきらぼうに呼ぶ声は、言い方と反して優しく甘ったるい声だ。その甘い声に引き寄せられるようにベットに座り込んだ。
ぐいっと腕を引っ張られ布団の中に引きずり込まれた。
「うおっ、」
「デンジ、お前あったかいな…子供体温か」
「…そーかもォ」
アキに後ろから抱きつかれるのは少し照れくさかったけど嬉しくて、安心して。アキの呼吸の音が聞こえるのが心地よかった。
アキの声も顔も中身も。俺をぎゅっと抱きしめるときの腕とか、睨んでるようで優しい目をしてたりとか。
全部好きだった。
「なんか、この感じ久しぶりだな…」
久しぶり……?
───────────────
瞼の外が明るい。
「…アキ」
時計を見るともう朝で、起きなきゃいけない時間だった。
前にテレビで、人は声から忘れていくのだと言っていた。
いつかアキの声を忘れていってしまうのだろうか。
「…アキ、俺のことさ 」
コメント
2件
いま滝のように涙が出ています… アキよ…私が銃の悪魔なるから…!デンジとずっとイチャイチャしててくれ… (めっちゃネタバレですが刺客編でアキくん腕無くなってしまうので、途中で抱きしめることもできなくなるって言う…)