テラーノベル
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物心ついた時には前世の記憶を思い出していた。ポチタ、アキ、パ ワー、マキマさん、レゼとか、大事なヤツはだいたい思い出した。
今の俺は高校生。親もいて、前世みたいな貧しい生活は送っていない。そして、この世界には悪魔はいないらしい。義務教育中に悪魔の話は出なかったし、テレビでも悪魔に関する話は一切聞かなかった。それなりに平和な世界みたいだ。
と、思っていたら親が離婚した。原因は母の不倫だった。かなり揉めてそれはもう修羅場だった。
(親がいるとこーゆーことも起きんだなァ)
それからは親父の方について行き、しばらくは二人で慎ましく暮らしていた。ところがある日の朝、
「学校が終わったらここのレストランに来てほしいんだ、紹介したい人がいる。」
へぇー、とテレビを見て食パンを食べながら適当に返事をした。
登校中、ピアスをしていて背格好があいつに似てる人を見かけた。追い抜いてチラと顔を確認するも、思っていたらヤツとは違っていた。
「…アキ、会いてぇなァ」
いつも思い出すのは昔の面影。俺か、あんな最後で終わらせてしまったからきっと会えないんだろう、そんなことを思って柄にもなく寂しさを感じた。
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放課後、住所を見てきっとここだろうと思った場所は少しお高そうなレストランだった。
(こんな場所、前世だったら行くことなんて無かっただろうな)
窓を覗くと親父らしき姿があった。カランカランというドアの開く音を聞き、ズカズカと入って行った。
「ども……って、は…?」
そこには、一つに結んでない、前には毎朝見ていた見覚えのあるやつがいた。整ってる顔、びっくりしている顔。ピアスもしてる。
「……デンジ、?俺のこと、覚えてるのか? 」
なんだ知り合いだったのか?と親父の言いかけた言葉を振り切って、店を飛び出した。
走って、走って息も切れ切れになった。会いたくなかった、嘘。超会いたかった。でももしまた居なくなったら、そう考えると怖くなった。
だけど、悪魔がいないこの世界だったら…俺の前から居なくならないかもしれない。
「…っ、俺どーしたらいんだよ」
「また俺と住めばいいだろ」
気づくと立ち尽くす俺を後ろから抱きしめるアキがいた。あったかい、懐かしいこのタバコの匂い。
「アキぃ…俺、俺さ…」
とめどなく溢れてくる涙を必死に袖で拭う。その手を止めて、優しく指で拭われた。
「こっち来い」
大通りで人目に付くからとちょっと離れた路地裏について行った。手を引かれていく様子は子供みたいに見えただろう。
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「落ち着いたか?」
俺を優しい目で見つめるアキがなんか照れくさかった。
「…俺さ、またアキと一緒にいてもいいの?」
「なんでそんなこと聞くんだ?」
「だってさ…だって、俺アキのこと…殺しちまった…!」
もう泣き止んだと思ったのに、涙が溢れ出た。目の上が腫れぼったく感じる。
「違う、お前が止めてくれたんだ」
またハグをされた。今度は力いっぱい。少し背中が痛かった。
「…ここの路地裏、俺たち前こーゆーとこ来たことあるよな」
「やめろ、思い出したくねぇんだよ…」
へへと笑う俺を呆れながら手を引くアキを見て、嬉しくなった。懐かしいこの感じ、ずっと続けばいいのに。
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書きたいとこが書き終わらなそうっていうか、長くなりそうなので後編書こうかな…さすがにテラーで3000字超えるの読みづらいよね…ただでさえ前編で長くなっちゃったのに
コメント
4件
まじで今日命日かもしれない....流石に神すぎる なんなら長く書いて欲しいです😽続きめちゃ気になる....!
あぁもう全然長く書いちゃってください!! 私はどこまでも読み続けますよ!(?) もう続きが気になってしょうがない…🤦♀️