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奇蹟あい
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#勘違い
かませ犬S
455
#男主人公
パラレル・ゲーマー
173
にとり
1
外に出されると、そこは広い中庭のある屋敷だった。
中庭には倉庫が幾つも立てられ、攫った人を押し込んでいるようで、俺たちはその一つに入れられていたようだ。
そして先ほど窓から見かけた、攫われた男女は猿ぐつわの上に手も縛られ、木箱へと詰め込まれている。
(あの状態で移動させるつもりか?)
俺はそう思うが、その木箱は丸イ組樟脳作業所と書かれた馬車へと積み込まれていく。
いくら何でも無茶だろ…
俺も宮小路さんも驚いているところで、見ていた人同様に猿ぐつわをされ、手も縛られてしまった。
ああ、同じ運命なのか…
違いは目隠しまでされたことだろう。
手を縛られ目も見えず、だが背中に突きつけられた銃口と思わしき物で歩かされる。
この世界は女性を大事にしない世界だと良くわかった。
***
十の銃口。ゲヴェール98ライフルとモーゼルC96拳銃が俺を捉えている。
目隠しと猿ぐつわをされて、二時間荷馬車に揺られた先で目にしている状況だ。
高そうな絨毯が敷かれ、しっかりした調度品と掃除の行き届いた40畳ほどの部屋だった。金持ちの別荘のような印象を受ける。
目隠しと猿ぐつわを外された瞬間、宮小路さんは膝から崩れて座り込んでしまった。
銃を構える者の目が仄暗い怒りの焔を湛えているせいだ。
「貴様を人質に、西にいる日本軍の撤退を申し出る。
聞き届けられなければ、貴様を切り刻んで総督府に送りつけてやる。
その前に生まれてきたことを後悔させてやろう…」
「何をそこまで恨み憎しんでおられるのですか?」
俺は質問を投げかける。
「乙未的時陣,恁這些狗屎害死我的家人!(乙未で貴様らは俺の家族を!)」
台湾人の怒りの声
「ンガラン スム ク ルジアル ナハ、ルイン スガトゥン ナハ ク ンニアン ナハ! (お前らが我らの地を、生活を奪った)」
「ラシャン ク ガガ ニヤム、ビカン ク ガガ ニヤム! (我らの誇りを、矜持を返せ!)」
原住民の怒りが耳をつく
「お前ら日本人が恭順を求め、逆らうものを許さぬせいだろうが!」
……人同士で憎しみ合うなど下だらぬことなのに…
いや、人同士だからなのか…
人同士の争いなど一対一で決めれば禍根も残らまいに…
「私たちは、この島の発展を。生活を良くしようと思って。
一緒に生きていこうとしているだけです」
男の言葉に宮小路さんが訴える。
「そんな日本の建前では隠せぬほど、我らは搾取され殺されているんだ!」
「……」
感情をぶつけられ、宮小路さんは口を開いたまま何も言えなくなってしまった。
それより気になるのは、俺は視線を男たちが持つ銃に目を向ける。
俺の中のアサルトモードが教えてくれる。
男たちの持つ銃が独逸という国で造られた銃であることを…
そして、奥のソファーに座る彫りの深い顔立ちの金髪の男たちが4人。原住民や日本人ではないと俺でもわかる。
「Sie sind Deutsche, nicht wahr?(貴方たちは独逸人ですね)」
俺はそう問いかける。
すると、この部屋にいる全ての男たちの動きが止まった。
「Sie sind es, die uns diese Gewehre geliefert haben, nicht wahr?(この銃の供与は貴方がたですね)」
立て続けに俺が質問すると金髪の男たちが立ち上がった。
「這個查某咖伊死!現在若牽連,就拍勢啊!(この女は殺せ!今、関与がバレるのは拙い!)」
金髪は周りの原住民に命令する。
「毋過,這個查某仔是臺灣總督的人交關呢!(しかし、この娘は台湾総督の関係者です!)」
俺の前に立つ男が叫んだ。
「許項擱較拍勢!(余計に拙い!)」
金髪が拳銃。ルガーP08を手に持ち、近づいて来る。
これだけでこの男が軍人だとわかる。
「毋過,若是搞好勢,反轉可以乎軍隊退步…(しかし、上手くいけば軍を撤退させられるかもしれない…)」
俺の前に立つ男がなだめるように金髪に話すが、聞き届けられない。
「軍隊袂赫好草!(軍はそんなに甘くない)」
金髪は目と鼻の先で俺に銃口を突きつけた。
ここまで展開が早くなるとは思わなかった、失敗したな…
(…あとは朔間さんに任せるとするか)
「宮小路さま。今から見ることは内緒にしてください」
俺は、座り込んだまま俺と金髪を心配そうに見ている宮小路さんに話しかける。
「え?朔間さま?」
「Was redet ihr da!(何を話している!)」
俺に突きつけられた銃のトリガーに力が込められる。
コメント
1件
第10話、読み終えました…! いやもう、展開が早くて一気に持っていかれましたね。 特に、主人公が突然ドイツ語で問いかけたシーンは鳥肌が立ちました。あの空気の変わり方、一瞬で全員の動きが止まる感じ、すごく映像が浮かびました。 それに、金髪の男たちが「やばい、バレる」と殺意を向ける流れも緊迫感がすごくて、ページをめくる手が止まらなかったです。 歴史の闇や人種・立場の違いが生む憎しみの構図も重くて、考えさせられました。 次の話が気になりすぎます…!