私は可愛い。
そう自負している。サラサラの髪。パッチリとした二重。大きな瞳。スッと通った鼻筋。バランスの良い配置。スタイルだって、並よりは上だ。おまけに、完璧なメイク。これがブスだという方がおかしい。
今私を横切ったサラリーマン。すれ違い様に私を見た。ふふっ、仕方がない。だって私は可愛いもの。
そんな可愛い私にしか務まらないお仕事。それは……『嘘をつくこと』。
誰にでも優しく。ずっとニコニコして、何でもそつなくこなす。完璧な子。だって、おかしいでしょう?こんなに可愛い私が、性格まで可愛いくないはずがないんだもの。相手がどんなに嫌いでも、どんなに嫌でも、相手が私に向ける視線だけで、優越感に浸れる。私は可愛いって再確認できる。
「おはよー」
笑顔を振り撒いて挨拶をする。すぐに、近くにいた女子何人かが挨拶を返す。教室を見回せば、隅に男子何人かが集まって、こちらを見ながらコソコソしている。あぁ、告白されるんだな。すぐにそう悟った。私ほど可愛いければ、最低でも一週間に一回は告白される。まぁ、OKするはずがないんだけど。
授業中、三回に一回の確率で手をあげ、完璧に答える。本当は全て手を挙げれるけれど、目立ちすぎるのも良くない。
放課後、朝の男子からの告白を断り、教室に戻ると、生徒会長がいた。
「やぁ、待っていたよ。すまないが、この仕事を頼まれてくれないか?」
断りたい。今日は部活があった上、あの男子のフォローまでしていたのだ。今、この仕事を受けてしまったら、勉強をする時間がなくなってしまう。だけど、ここで断るなんて可愛い私はできない。
「もちろん。お受けいたしますよ」
そう言って、重い書類を受け取る。
「ありがとう。明日受け取るよ。」
そう言って生徒会長は立ち去っていってしまった。おおかた、この書類仕事が面倒だったのだろう。だけど大丈夫。可愛いくて完璧な私は、どんな時でも完璧だから。
本当は、完璧じゃないのに。






