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「どこに行くんですか?」
勇気を出して咲が尋ねると、悠真は前を見たまま答えた。
「……公園。冬になるとイルミネーションやってるって聞いたから、ちょっと見に行こうかなって」
「イルミネーション……」
咲の胸がふわりと熱を帯びる。
「受験前で大変なのは分かってるけど、少しくらい息抜きしてもいいだろ」
悠真は何気ないように言うが、その横顔はどこか照れくさそうだった。
公園に近づくにつれて、人通りが増えてくる。
遠くの並木には色とりどりの光が灯されていて、冬の空気に幻想的に揺れていた。
「……きれい」
思わず漏れた咲の声に、悠真はちらりと目を細めて笑った。