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公園の並木道は、金色や青の光に包まれていた。
子どもたちの笑い声や、カップルの小さな会話が遠くで混じり合っている。
咲はその眩しさに目を奪われながら、隣を歩く悠真を意識してしまう。
(……手が、近い)
コートの袖が、ほんの少し触れ合う。
それだけで心臓が跳ね、咲は慌てて歩幅をずらそうとした。
けれど悠真がふっと足を緩め、自然に咲の歩調に合わせた。
「……咲ちゃん」
不意に呼ばれたその響きに、心臓が大きく跳ねる。
「は、はい……?」
「楽しんでるか?」
短い言葉なのに、優しい声色が心に落ちていく。
「……はい」
咲は光に照らされながら、小さく頷いた。