テラーノベル
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ノアの死に際の言葉ははっきりと。彼女に聞こえていた。
彼女の名前は欣怡(シンイー)
第3回戦、アテナ選抜の出場者だ。
欣怡は第2回戦を行っている最中にトーナメント表を見たのだ。そこでノア・カーターの名前と写真を見て、乱入して殺そうとした。
何故そんなことをしたのか?
ちょうど1年前のことだった。
欣怡は中国に住んでいて、地域の人達とも中が良かった。
彼女が買い物に行っている時のこと、自分の家の方から大きな衝撃音が響いた。
欣怡は恐る恐る振り向く。
そこに映っていたのはーー
墜落した飛行機で崩壊する、彼女の地区だった。
目の前で火は燃え広がり、家は崩れ、微かに断末魔が響き渡っていた。
すぐに皆を助けに行こうとしたが、街の人々に止められ、ただ崩壊していくのを眺めるだけとなった。
火の消火が終わり、安全が確認された。
しかし、欣怡の地区の人は、飛行機が墜落した範囲は……
誰も助からなかった。
欣怡は家族も、友達も、家もお金も、全てを失った
自分だけを残して。
暫くは悲しみにくれていた。
だが、欣怡はあることを思いついた。
「そっか、私もそっちに行けばいいんだ」
そう、欣怡が選んだのは、**“死”**だった。
海へと足を運ぶ。なんの迷いもなく、
目はどこか遠くを見つめていた。
そしてついに、崖から海へと
身を投げた
苦しい、息ができない、しかし怖くはなかった。
家族に会える、皆に会える、そんな事を考えながら深く、深く、沈んでいく。
その瞬間、目の前がぱっと明るくなった。そして、
また、あの衝撃音が響いた。
また、目の前で皆が死んでいく、間に合わない。
何も出来ず、体が硬直する。
そう、欣怡の時間は巻き戻ったのだ。
“墜落後へと”
後、というのがとてつもなく苦しい。
前だったらなにか出来たかもしれないのに……
時間が巻き戻ったことなどどうでもいいように、
皆のことだけを考える。
そしてまた、海に身を投げた。
しかしもう一度悲劇が訪れた。
時間が巻き戻った。
墜落後へ
何度やっても同じだった。
けど、どこかで天に行けるかもしれない。そう思い、何百回、何千回、何億回と繰り返す。
やっぱり無理だった。
何度やっても巻き戻る。
もう、これ以上悲劇を目の当たりにするのが辛かった。
欣怡は諦めて施設送りへとなった。
という感じで今に至るのだ。
そして、どうしてノアを知っていたかということだ。
後日、ニュースで墜落事故が取り上げられた。
飛行機が元々壊れていたらしい。パイロットの名前と顔が張り出されていた。
それと同時に、ノアのことも取り上げられていたのだ。パイロットの息子で、兄弟も両親も祖父母も無くした、呪いの子が。
だから欣怡はノアのことを知っていた。
あの後、彼は悪くないと言い聞かせてはいた。
流石に無実なんだから、殺すのはまずかったかもしれない。当たり前の感性だ。
あの時はいくら無実でも息子だからと敵を討どうとしたが……
しかしノアが犯人だったと知った今、怒りが抑えきれず、手が震えている。
引き寄せられるように舞台へと上がり、ノアの目の前まで行く、試合後だから問題は無い。
そこにはーー
骨となったノアがいた。
欣怡はちゃんと見ていた。第2回戦の勝者である
ルカが、ノアの事を食べていたことを、
「死体残しておいてよ……、カニバリズムとか
流石に怖いし気持ち悪い」
そう呟きつつ欣怡は、
ノアの骨を、ハンマーで砕いた。
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