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小鳥遊
異次元ミアレに強制的に飲み込まれた日から、サビ組による異次元ミアレの調査の量は増えていた
「今日の異次元の歪みの数はこれくらいか…日に日に増えてるわね」
「──ちゃーん…アザミちゃーん!」
ミアレの街を歩きながら、アザミが異次元ミアレの歪みの数を数えていると後ろから向かってくる足音が聞こえる
「アンヴィ?」
「アザミちゃーん!仕事?」
「休みだけど…急いで調べないといけないから」
「はぇ〜!頑張り屋さんだねぇ…そうだ!コーヒー飲む?」
そう言うとアンヴィはまだ暖かい缶コーヒーをアザミへ差し出す
そんなアンヴィに「ありがと」と礼をし、缶コーヒーを受け取り近くのベンチへ2人して座った
「アザミちゃんってさ、ほんとお母さん似だね〜!生き写しみたい!」
「前から気になってたけど、お母さんと会ったことあるのね」
「うん、2人がお腹にいる時と2人が小さかった頃かな〜…まぁ、施設の部屋が別れる前だよね」
そういうとアンヴィはゆっくりと昔のことを話し出す
外から来た影響もあるのか、デイジーはシオン達が産まれる前から本来母親達がいる部屋を抜け出して子供の部屋に来ていたらしい
デイジーはアンヴィに優しく接していたようで、母という存在を知らないアンヴィからすればデイジーは血の繋がりはない言えど母のように見えたという
「(確かに施設では基本母親とは接触できない。母も子も変な感情を抱いてしまうから)」
お母さんが私達の所へ通えていたのも、今思えば不思議だったが結局お母さんはそれが原因で施設の人間に処分された
従順でいればもっと生きていただろうに
「デイジーさんは出来損ないの僕にも優しくてさぁ…だから、気になったんだ。俺の本当のお母さんのこと」
その瞬間、アンヴィの瞳がいつも以上に黒くなりゾッと正体の掴めない寒気に襲われるが気のせいか…とアンヴィの話を聞き続ける
「部屋を抜け出して、初めて自分の意思で外に出た。母屋に行くなり、自分の母を探したよ」
───数十年前……
「お母さん…僕の……」
周りを見渡すと女の人ばかり
子供を産むだけに造られた人もいれば、デイジーさんのように外から連れてこられた人もいる
けど全員どこかぼーっとしていたり、悲しそうに涙を流して「こんな所に生まれなければ…」「外に戻りたい…」と呟いている
どこか異質な部屋に怯えつつ物陰に隠れながら母を探す
すると部屋の隅で石を積み上げている黒髪の女性を見つける
───直感的に母だと分かった
「…っ、お、…お母さん」
「!!その髪にその目…まさかアンタ…」
勇気を出して物陰から姿を現して声をかけると母は目を見開き驚いたようにアンヴィを見つめた
それを見て幼心に施設の設備が厳しく来れないだけで、自分の母も本当は自分を愛してくれてるのではないかと淡い気持ちを抱いた
しかしその考えは次の瞬間、尽く潰れ去る
「なんで…なんでここにいんのよ!!バケモノ!!」
「え……お、お母さ──」
「こっち来ないでよ!!気持ち悪い!!お母さんなんて呼ばないで!!」
その瞬間、絶望した
デイジーさんのように自分の母も自分を愛しているのだと信じていたから
「ああもう!アンタが出来損ないのせいで私は死ぬの!!アンタのせいよ!!アンタなんか産まなきゃ良かった!!」
けど目の前の母は髪を乱れさせ、酷く取り乱し、まるで化け物を見たような目でアンヴィを見つめていた
「いやー、ほんと罵るわ罵るわでさ〜!泣いちゃったよ〜!!」
「実の子にそんなこと言うなんて…私達子供だってあの施設の被害者なのに…」
そう言って、どこか悲しそうに眉を顰めるアザミに「シオンちゃんより、大人しそうに見えたけど…やっぱデイジーさんの子だな。人を思う心がある」と思うアンヴィ
「まぁ仕方ないよ。あそこにいる女達は皆子を産んで、子が優秀じゃなければ処分される、そんなのが日常茶飯事だったあの施設でまともな方がおかしい」
そう言うとコーヒーを飲み笑う
つくづく、あの施設は狂っていたと感じる
「…そんな施設だったけど、デイジーさんは優しくしてくれた
だから僕はデイジーさんが叶えられなかった願いを叶える 」
そう言うと笑みを浮かべ、アザミの手を握る
「デイジーさんは俺にこう言ったんだ、〖この子の傍に居てあげて、特にシオンは寂しがり屋だから〗って、だから俺はそれを守る」
「…過保護なお兄ちゃんだね、でも姉さんは大丈夫だよ。カラスバがいるし」
「───カラスバ…?ああ、あの男か」
「!!」
その瞬間、アンヴィの瞳が黒く濁り底知れない恐怖にゾッと背筋が凍るアザミ
「…アンヴィはカラスバの事よく思ってないの?カラスバから前に会ったってのは聞いてたけど」
「うーん…お金も権力もあるし素敵だと思うよ。けど、邪魔な感情が多いかな」
そう言われると、確かにカラスバはその場の感情に任せて周りに当たる時も多い
最近は姉さんにも当たっていたから、姉さんに当たるのはやめろって怒ったばかりだった
「あの男のそばに居たらシオンちゃんは与えられない愛にしがみついて死ぬ……デイジーさんのように…」
「え?今なんて──」
「ん〜?いやお兄ちゃんとして、心配だなぁ〜って!やっぱ、可愛い妹には幸せになって欲しいからね!」
「そ、そう……?」
ニコニコ笑うが先程の言葉はなんだったのだろう
姉さんがお母さんと同じになるってどういう事……?
……おかしい、確実におかしい
言葉にはできない違和感がアザミの胸をモヤモヤさせる
そんな中アンヴィは「そろそろ行かなきゃ!」と笑い、軽く立ち上がると手を振りその場を立ち去ってしまった
「……お兄ちゃんとして…」
アザミはアンヴィが居なくなったあと小さく呟く
お兄ちゃんとしてと、ことある事に話していたがどこか違う気がする
そもそも今まで気にしなかったが、姉さんに向けている視線…あれは妹を心配してのものだろうか…?
「…まさか……いやまさか…ただ心配してるだけで…でもさっきの言葉………」
コメント
1件
話数が多くなりすぎる可能性があるので、かなり話詰め詰めで書いてて情報量多くてすみません😭💦💦 まだしばらく不穏ターン続きます😭(krsbさん早く出したい)