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【笑うあの子の裏事情】
Episode.2 少しだけ違う、いつも通り
《🎼🌸side》
その日は、朝から少しだけ慌ただしかった。
健康診断の書類をまとめて、保健委員に渡して、
気づけばチャイムが鳴っていた。
🎼🌸「…やっと落ち着いた」
保健室の椅子に腰を下ろした、その瞬間。
ガラッ!!
🎼☔️「らんくーん!!」
🎼🌸「はいはい」
もう驚かない。
この音で誰かなんて、分かりきっている。
🎼☔️「おはよー!」
🎼🌸「おはよう、こさめ。今日もノックはなしだね」
🎼☔️「ノックするとさ、勢い止まるじゃん?」
🎼🌸「勢いで入ってくる場所じゃないんだけどなあ、ここ」
🎼☔️「えー、いいじゃん。保健室だよ?」
にこにこしながら、当たり前みたいに入ってくる。
今日も制服はきちんと着ている。
今日も──笑顔だ。
🎼☔️「らんくん、今日なにしてたの?」
🎼🌸「健康診断の準備」
🎼☔️「ふーん。大人って大変だね」
🎼🌸「こさめもいずれなるんだよ」
🎼☔️「えー……ならなくていーや」
即答。
🎼🌸「即答すぎる」
🎼☔️「だってめんどくさいんだもん」
そう言いながら、こさめは勝手にベッドに腰掛ける。
🎼☔️「…今日もチェックして!」
🎼🌸「はいはい……って」
俺は自然と、こさめの手元を見る。
🎼🌸「…また増えてる」
🎼☔️「なにが?」
🎼🌸「怪我」
🎼☔️「気のせいだよ」
🎼🌸「気のせいにする量じゃない」
そう言うと、こさめは少しだけ首を傾げてから、
いつもの明るい声で言った。
🎼☔️「転んだ!」
🎼🌸「どこで」
🎼☔️「どこか!」
🎼🌸「…答える気ないでしょ」
🎼☔️「あるよ!でも思い出せない!」
消毒液を準備しながら、俺はため息をつく。
🎼🌸「痛かったら言ってね」
🎼☔️「だいじょーぶ!」
🎼🌸「毎回それ言うね」
🎼☔️「だってほんとだもん!」
消毒液が触れた瞬間、ぴくっと肩が揺れた。
🎼☔️「……」
🎼🌸「ほら痛いじゃん」
🎼☔️「ちょっとだけ!」
🎼🌸「“ちょっとだけ”が積み重なってるんだよ」
🎼☔️「らんくん、お説教モード?」
🎼🌸「先生だからね 」
🎼☔️「えー」
口を尖らせつつも、こさめは大人しくしている。
そのとき。
コンコン、と今度はちゃんとしたノック音。
🎼🌸「はい、どうぞ」
扉が開いて、見慣れた顔が覗いた。
🎼🍍「失礼しまーす」
暇井なつ《ヒマイ ナツ》。
1年3組の担任で、こさめの担任。俺の同期。
🎼🍍「お、こさめいるじゃん」
🎼☔️「なつくん!」
こさめはぱっと顔を輝かせた。
🎼🍍「今日も元気だな」
🎼☔️「うん!なつくんは?」
🎼🍍「俺は元気じゃない」
🎼☔️「えー」
🎼🍍「朝から職員会議で詰められた」
げっそりした顔で、なつは椅子に腰掛ける。
🎼🍍「それより」
ちらっと、こさめを見る。
🎼🍍「授業は?」
🎼☔️「行かないよ?」
🎼🍍「即答だな」
🎼☔️「だって、ここにいるもん」
🎼🍍「…そっか」
なつはそれ以上、何も言わなかった。
言わない、というより──言えない、に近い。
🎼🍍「怪我は?」
🎼☔️「いっぱい!」
🎼🌸「そう明るく言うことじゃないよ」
俺が言うと、なつは苦笑した。
🎼☔️「なつくん」
こさめが、何気ない声で呼ぶ。
🎼🍍「ん?」
🎼☔️「今日は何するの?」
🎼🍍「授業。それと、席替え」
🎼☔️「ふーん」
それだけ。
それ以上、興味を示さない。
🎼🍍「聞くだけ聞いて、終わりか?」
🎼☔️「うん!」
なつは小さく息を吐いた。
🎼🍍「…まあ、いいか。」
立ち上がって、扉に向かう。
🎼🍍「じゃ、俺戻るわ」
🎼☔️「いってらっしゃーい!!」
🎼🍍「怪我すんなよー」
🎼☔️「がんばる!」
🎼🌸「頑張る方向、間違ってる」
なつが出ていって、保健室はまた静かになる。
🎼☔️「らんくん、今日はいつまでいてもいいの?」
🎼🌸「……好きな時に帰ればいいよ」
🎼☔️「やった!」
変わらない明るさ。
変わらない笑顔。
でも、
それを「いつも通り」と言い切るには、
胸の奥に、少しだけ引っかかるものが増えていく。
それでも今日も、
俺は何も言えず、カルテを閉じる。
next.♡200
コメント
17件
着眼点みなさんとちがうけどぜったい72せんせーいけめんで4んだ
🍍くんめちゃ優しい😭😭 続き楽しみにしてまーす❤❤
怪我してても、その事情がバレてたとしても元気に返事をする☔️くんが、儚すぎて仕方がないッッ! そのことに深く触れすぎない、🌸🍍が優しすぎて泣けてくる… 続き、楽しみにしてるねん🫶🏻💕︎︎🙂🎐