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 本命として鮮花が単独行動をする一方で、ルイとグレイ、そしてアレクシアは三人で陣形を組みつつ防衛戦を構築していた。

 銃撃と防御の中で、流石にしんどくなってきたのか、アレクシアが突然ルイに問いかけた。


「ルイさんは鮮花とコンビを組んでいたと聞いていますが」

「ああ、そうだよ」

「昔話してくれませんか? どんな話でも良いので」

「ああ? なんでこんな時に……っまぁ今、お前とコンビ組んでるお前には話しても損は無いか。じゃあ、槙島慎也と標本事件から始まる復讐の話をしてやる」


 始まりは第一の標本事件。

 正式名称は「公安局広域重要指定事件302」。


 3年前に起こった未解決事件。

 殺害して解体した死体を特殊な薬剤でプラスティネーション加工し、公衆に晒した連続猟奇殺人事件である。


 死体の損壊・加工の仕方や展示の舞台設定には、歪んだユーモアやメッセージ性が見出だせた。犯人は捕まっておらず、別件で捜索願の出ていた作柄丘学園の元教員である川添美鈴が情況証拠から犯人と推定されたが行方不明だった。


 当時、事件を担当していた槙島慎也と佐々木が犯人を捜索するも、佐々木が生きたまま解体された。それを発見した槙島慎也はメンタル汚染数値が上昇してセカンドエージェントへ降格となった。

 それ以来、槙島慎也は相棒を殺した犯人に復讐を考えるようになる。


 そしてそれから数年後、私達は大人のエージェントである公安局刑事課の仕事を見るために、一時的に配属された。

 そこで、第二の標本事件が起こったのが始まりだった。



 雛森茜と、桂秀星に混じって、鮮花とルイは桂秀星の部屋で料理を振る舞われていた。


 桂秀星はオレンジ系の明るい髪色の、毛先を跳ねさせた髪型をしており、左のサイドを4本のピンで止めているチャラい感じの青年で、逆は雛森茜は暗めな茶髪をボブカットにした天真爛漫で正義感が強いが、不器用で押しに弱い女性だ。


「いやー、すみませんね! 役職上はセカンドと同じ立場なので、公安局だと雛森さんと一緒にいないと駄目なんですよ〜」


 明るく茶目っ気のある謝り方をする鮮花に、秀星は、笑って答えた。


「いいって、いいって。ウチはみんな美人だけど怖い女の子ばっかだからね、鮮花ちゃんみたいな明るい子が来てくれるのは大歓迎! それにお土産も持ってきてくれたし!」

「あ! それはルイの提案なんですよ! 人様の家にアポ無しで押しかけるんだから、何か持っていくべきだろ、って!」


 その言葉に秀星は更に笑う。


「はは! 真面目だねぇ、ルイちゃんは。茜ちゃーん、後輩を見習った方が良いんじゃない? 二人ともめっちゃ良い子じゃん!」


 その言葉に、レトロゲームをしていた雛森茜はムッとした表情になる。


「すみませんねぇ! 気が効かなくて!」

「まぁ雛森さんは、悪い遊びをしなさそうなタイプですからね。こういう生の料理とかも食べないタイプなんじゃないですか?」


 鮮花の問いかけに雛森茜は首肯する。


「うん、基本的に全部、味のタイプだけ決めて栄養食」

「ですよねぇ、でもでも、一度食べてみてくださいよ! 確かに味は一緒でも、こう、深みみたいなのが違うんですよ!」

「おい、鮮花。雛森さんを困らせるな。すみません、用があるから来たって話だったのに」

「いやー、俺は後輩二人が来てくれて嬉しいわ。食材もこんなに貰って。流石に酒はないけど、まぁ、年齢的にね」

「あ、すみません。そこまで気が回らず」


 頭を下げるルイに秀星は笑って、顔をあげさせる。


「ま、酒は二人とも大人になってからってことで。おっけい、できた」

「テーブルに運びますねー!」

「お、ありがとう鮮花ちゃん」


 テーブルに料理が並び、秀星が雛森茜に問いかける。


「それで、茜ちゃんは何で慎也ちゃんの過去をデータファイルで調べないわけ? ファーストなら権限あるっしょ?」

「ファイルを閲覧したら槙島さんにばれちゃうじゃない」

「バレちゃまずいわけ? つーか、そんなに慎也ちゃんの事が気掛かりなのかい?」


 それに鮮花は目を輝かざる。


「まさか、LOVE、ですか!? ファーストと元ファーストの禁断の恋!!」

「恋?」

「恋か!」

「アッハハハハハハ!!」


 返ってきたのは馬鹿にしたような笑いだった。


「というか、桂くんは恋したことあるの?」

「あのねぇ、茜ちゃん。俺ってば人生の先輩よ? 恋どころか悪い遊びは一通りこなしてるワケ。わかる? 健全優良娘の茜ちゃんには想像もできない世界を覗いてきたわけさ」

「恋かー、上級生のお姉様や、後輩とデートして、部屋ですることはあっても、それは一種の遊びというか娯楽の面が強いですからねぇ。異性との恋は未経験です」

「私も、ほぼ訓練と実戦だけだからなぁ。そういう余裕がある人の遊びはしたことない、です」

「え!? 嘘!? 茜ちゃんはともかく二人ってそんなレベルの生活してんの!? せっかくのかわいい女の子たちが世に出ないなんて世界の損失だぜ!?」


 桂秀星の叫びに雛森茜は白い目を向ける。


「桂くん最低」

「まあ、それは冗談として、例えばこれ」


 桂は液体の入った瓶を指差す。

 茜は首を傾げて言う。


「ジュース?」

「ちげぇよ! 酒だよ酒! 本物の酒! 征陸のとっつぁんのおすそわけ。今じゃみんな中毒性が怖いからって、安全なメディカルトリップか、ヴァーチャルばっかじゃん?」

「それ飲むんだよね、火をつけるんじゃなくて」

「ああ? なんでそんな思考になるわけ?」

「ううん、何でもない」

「まぁ、こういういけないお楽しみも俺らの特権ってわけ」

「ふーん」


 赤なは料理を口をする。


「うわ! 美味しい!!」

「でしょ!? でしょ!? 美味しいでしょ!? 雛森さん!!」

「これが本物の料理ってわけよ」

「いや〜やっぱり料理は実物に限りますなぁ」

「そうだ、茜ちゃんも試してみる? 酔ったら俺も口が軽くなるかもよ?」


 そういうわけで、お酒を飲み始めた二人だったが、勝負は常守朱の圧勝だった。鮮花とルイは二人の話を聞きながら、料理を貪り食う。


「いやー、俺が配属された頃には慎也ちゃん、ファーストからセカンドに降ろされちまってたからさぁ。詳しいことはわかんねぇの。まぁ、話を聞くには、部下を殺されたらしいけど」

「殺された?」

「犯人追っかけてた筈が、逆に犠牲者になっちゃったのさ。他の被害者と同じような手口でそれはもう酷かったらしいよ? それで慎也ちゃんおかしくなって犯罪係数ぶっちぎって、事件は迷宮入りだけど、慎也ちゃん調べ続けてるらしいよ」

「なるほど……」

「つ、つーか、茜ちゃん。なんてそんな酒強いわけ?」

「いや、桂君が弱すぎ」

世界を守る殺戮の救世主

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