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いつものようにやらかして、いつものように土下座を敢行した今日この頃。ドクター達はむしろ機体の一部を半透明にしてしまった洗剤に興味を示していたけど、ここで下手に渡してしまっては大変なことになる。私だって少しは学んでいるんだ。流石に立て続けに失敗はしない……と思いたい。あんまり自信はないけど。
そう言えば。
「カレンはどちらに?」
いつも居るカレンが見たら無いのが気になった。いや、それ以上に何故か冷や汗を流してるフェルの様子がすんごく気になる。どれくらい気になるかと言えば。
「フォオオオオオーーーーーッッッ!!!」
お尻に直撃した噴水で僅かに宙に浮いたジャッキー=ニシムラ(キツく閉めて侵入は阻止した)さんや当たり前のように宙に浮いている朝霧さんよりずっと気になる。
いや、朝霧さんは私が原因だから仕方ないにしても。
そんな私の質問にジョンさんは困ったような笑顔を浮かべて、そしてメリルさんが苦笑いしながら口を開いた。
「実際に会ってみた方が早いわね。ここに転移できるかしら?」
メリルさんが見せてくれたのは、荒野の中にある施設の敷地内……かな?その写真だ。見たことはない。
「フェル、行ける?」
「……はい、行けます」
「大丈夫?顔色悪いよ?」
「大丈夫です。ただ、ティナの気持ちが少しだけ分かりました」
「私の気持ち?」
何だろう、すんごく嫌な予感がする。私、なにもやってないよね?また無意識にやらかした?嘘でしょ?
まあでも、確認しないわけにはいかない。何故かフェルが凄く青ざめてるし。
「じゃあ行こっか。メリルさん、案内してくれませんか?」
「もちろん。フェルちゃんと手を繋げば良いのかしら?」
「はい。フェル、お願いね」
「分かりました」
「兄さん、ちょっと行ってくるわ」
「一応機密なんだがなぁ」
「今更でしょう。それに、彼女達に知って貰った方が早いわ」
「下手に隠す必要もないか。ティナ、フェル。カレンによろしく伝えて欲しい」
「はーい」
私達は手を繋ぎ、そして転移した。
景色が一瞬で切り替わり、一面に荒野が広がる。どこかの施設の敷地内かな。
「これが転移した……本当に魔法ね」
初めて転移を経験したメリルさんは不思議そうにしてる。まあ、気持ちは分かるよ。魔法なんて地球じゃファンタジーのお話だからね。
私は元々アニメとか好きだったからあっさり順応できたけど。諦めたとも言う。
っと、それよりも。
「メリルさん、ここは何処ですか?」
「ここは……そうね、まだ名前はないわ。施設だってまだ建設中だからね」
確かに広い敷地は高くて頑丈そうな壁で囲まれているけど、完成している建物は少ない。今も工事中みたいだけど、作業してる人達が全員軍服を着てる。もしかして、軍の施設なのかな?
「ここはティナちゃん達関係のもの、つまり異星人関係のものを研究する極秘施設よ」
わぉ、まるで都市伝説みたいな場所だね。
「そんな場所に私達を招いて大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。むしろ、こそこそ研究するより貴女達に認められて堂々と研究した方が良いわ」
なるほど、下手に私達に隠して不信感を持たれるよりはって事かな。
で、そんな場所に私達を招いたんだ。しかも理由はカレンと会うため。益々嫌な予感がするんだけど。またやらかした?カレンには海洋庭園以外渡してない筈なんだけど?
「……ここに連れてきたってことは……」
「大丈夫よ、ティナちゃん。今回貴女は無関係よ」
私は無関係?つまり……。
フェルへ視線を向けると、益々青ざめてる。これってもしかして。
「ティナー!フェルー!」
そんな中、聞きなれた声が聞こえてきた。カレンの声だ。
恐る恐るそちらへ視線を向けると、可愛らしいセーラー服に身を包んだカレンが手を振りながら走ってきていた。合衆国には明確に制服を規定している学校は少ない。これは前世から変わってないな。
カレンが着てる日本らしいセーラー服は、ジャッキー=ニシムラ(絶対領域はチラ見せが至高派)さんが着ているのを見て可愛いと感じたカレンが取り寄せたらしい。なにしてんの?ジャッキーさん。
まあ良いや。見たところカレンはマッチョにも頭が鳥取砂丘にもなっていない。良かった。でも、嫌な予感は増すばかり。
『マナ反応を検知しました。興味深いデータです。解析と収集を開始します』
ここでアリアが唐突に分析を開始して。
「見て見て!スゴいんだよ!やーーーっっっ!!!」
カレンがまるで光の巨人みたいに腕を真上に付き出した瞬間。
「「わぁ……ぁ……」」
カレンが巨大化した。何故か服まで一緒に巨大化したから、大惨事は避けられた。スカートの中?命が惜しいなら見ない方がいいよ。ジョンさん飛んでくるから。
いや、現実逃避してる場合じゃないなぁ……どうしてこうなったの!?Why!?
『地球単位ですと、全長18メートルですね。重量については極秘とします』
「ガン◯ムかな?」
「ガ◯ダム?」
「こっちの話だよ、フェル。メリルさん、これって……?」
「フェルちゃんが兄さんにプレゼントした栄養剤をカレンが飲んじゃったのよ。これまでの調べだと、今の身長から18メートルまで自由自在に身長を操作できるみたいね」
説明を聞いていると、もとの身長に戻ったカレンが笑顔のままで駆け寄ってきた。
「スゴいよ!これが魔法なんだね!」
「はい?魔法?」
カレンが魔法を!?そんな馬鹿な!?
「アリア!」
『ミス・カレンよりマナの反応を検知しました。保有魔力量を数値化します』
現れたが面に出された数値は、当たり前のように私より遥かに高い数値でした。いやどう言うこと!?
「これで私も魔法使いだよ!お揃いだね!」
「ちょっと、ちょっと待って!頭が混乱してるから!」
嬉しそうに語るカレンと、予想外の事態で一杯一杯の私は泣かば混乱状態になった。地球人のカレンがマナを宿した!?つまり、地球人でも魔法を使えるようになる!?
それだけなら嬉しい誤算だけど、訳が分からない!
「ごめんなさい……」
そして混乱してる私の側で、フェルが静かに土下座してた。それはもう清々しいくらいに綺麗な土下座だった。
……どうしよう……。