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暗闇で目が覚めた。落下しながら。
「えええええええぇぇぇえ?!」
だが、実際は違った。滑っているのだ。お尻が冷たい。水が身体と一緒にやってくる。俗に言うウォータースライダーと言うやつだろう。
「なんで俺ウォータースライダー乗ってんだよぉぉぉぉおおぉぉぉ!!!てか、クッソ長ぇなぁぁ!」
そう言った瞬間、出口に着いたらしい。勢いよく、タイルの地面に激突した。
「なんなんだよぉぉもおぉぉ!!!!⋯⋯⋯⋯チックソ、痛ってぇな⋯⋯」
しばらく激突して血が出てきた鼻をおさえながら
俺は周りの状況を確認した。
「⋯⋯プールか?此処は?そもそもうちの周りにプールなんてあったか⋯⋯?」
そうだ、俺の住んでいる場所は田舎だ。プールなんてあるはずがない。おまけにプールなんて行く程暇じゃない。
「⋯⋯帰り道探すか」
しかし、滑ってきたウォータースライダーを引き返すことなんて出来ない。あれだけ勢いのあるウォータースライダーだ。途中で戻されるだろう。
「なら、あっちに行くしかねぇな⋯⋯なんでちょうど足だけ浸かるプールがあるんだよ⋯⋯ 」
向こう側に行けそうな穴があるのだが、その手前に何故かプールがあった。渡るには足を濡らすしかない。諦めて、俺はプールを渡った。
「早く出て風呂入ろ⋯⋯⋯」
穴を通った先に見えたのは、またプールだった。
「はぁ?マジかよ⋯⋯⋯めんどくせぇ⋯⋯」
溜息をつき、ふと横を見て、俺は固まった。
「⋯⋯⋯どゆこと?何言ってんだこれ? 」
貼り紙がしてあった。普通なら俺はスルーしてただろう。だが、何かがおかしい。俺はそう察した。
「welcome to pool and not escape(プールへようこそ、そして逃げられません。)」何処かもわからない状態で、不穏な貼り紙。俺は恐怖を覚えた。
そうだ、違和感の正体。人が居ないのだ。物音すらしない。俺はパニックに陥った。
「おい!誰か居ないのか!此処は何処なんだ!」
いくら叫んでも帰ってくるのは反響音のみ。
「はぁ⋯はぁ⋯クッソ⋯まるで『夢』みたいだ⋯
こんな『夢』ならさっさと覚めて欲しいもんだ⋯」
いくら叫んでも助けは来ない。俺はプールを歩くしか無かった。
誰が思うだろうか。この先にあるのはプールだけではないと。