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屋上を後にした來夢は、誰もいない路地裏へと足を運んだ
周りに誰もいないことを確認した來夢は、スマホを取り出し、誰かに電話をかけた
來夢「(プルルルルル」
スマホ「只今、電話に出ることが出来ません。ピーと言う音の後にお名前とご用件をお話ください」
來夢「……あ、もしもし。繝ャ繧薙°、私だよ、音之瀬來夢。久しぶりだね。私のこと、覚えてる?調子はどう?私は元気だよ。また昔のようにお話したいな〜。一緒にいられなくなってから、ずーっと会えてないし、そろそろ会いたいよ。……ねぇ、繝ャ繧薙°。私ね、君に話したいことが沢山あるんだよ。だから、だから、………いい加減、声を、聞かせてよっ…。…………ごめん、そろそろ時間だね。またね、繝ャ繧薙°」
ピッとスマホの音と來夢の泣きそうな声が、誰もいない路地裏に響きわたった
來夢は毎日決まった時間に繝ャ繧薙°に電話をかけている
電話をかけても、あちらからの応答はなく、いつも留守電に音声を残している
なぜ、応答がないのに毎日電話をかけ続けているのか
來夢と繝ャ繧薙°は互いに互いを大切にしていて、まるで双子の姉妹のような存在だったからである
離れ離れになってしまい、唯一の連絡手段はスマホの電話番号の一つだけ
離れ離れになった日から、互いの安否が確認出来なく、來夢の調べでは繝ャ繧薙°は行方知らずとなっている
そのため、來夢は毎日決まった時間に電話をかけている
安否が確認出来ない、繝ャ繧薙°が出てくれることを願って
來夢「……そろそろあっちの方に行かないとね」
そう言い、來夢はレモンイエローに染まった金木犀柄の羽織から、金色の指輪を取り出し、そっと中指にはめた
◇ ◇ ◇
來夢「ん〜、着いた?」
目を覚ますと、そこは先程とは違う景色が写っていた
洋風の建物に屋敷、貴族が好むような洋服や小物など、ヨコハマとはありえない光景だ
ベリアン「おや、主様。おかえりなさいませ」
來夢「ただいま、ベリアン」
普通のように会話をするベリアンという男と、ヨコハマにいたはずの音之瀬來夢
そこに違和感はなく、まるで來夢がこの屋敷の主であるような雰囲気だ
実際、音之瀬來夢はこの屋敷の主である
ではなぜ、彼女がヨコハマにいるのか
それは今現在、來夢がいる世界はヨコハマとは別世界だからである
つまりは、異世界
來夢は、こちらの世界とあちらの世界を行き行きしながら、生活をしている
ベリアン「主様、本日はどのくらいこちらの世界に居られますか?」
來夢「うーん、今日は夜までいるよ。あっちの方だと、面倒事も幾つかあるし」
ベリアン「かしこまりました」
來夢「あー、でも仕事とかあるから一旦戻らないとだけど」
ベリアン「わかりました。そのお仕事は何時頃でしょうか?」
來夢「大体午後16時くらいかな〜」
ベリアン「かしこまりました」
來夢「それじゃ、私は部屋に戻るから」
ベリアン「お時間になりましたら、お呼び致しますね」
來夢「うん、ありがとう」
ベリアンにそう告げると、來夢は自室へと向かった