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「ジェイランドー!」
「レオ? マンシェリー姫も…ロビンさんたちと行かなかったのか?」
「ローランドの怪我を放っておけません! 僕が縫い合わせるれす!」
ローの千切れた右腕をレオが縫い合わせ、マンシェリー姫がチユチユの実の能力で治していく。
「…びっくりしたよ。ドレスローザに小人族がいたなんて。しかも、そのお姫様が治癒の力まで持っていたとは」
「ああ、俺も初見はちょっとびっくりした。ローの腕、血が流れ始めると回復するらしい」
「わかるよ、おれは医者だぞ」
「あはは、ごめん」
「地下の交易港を見て、察しがついたよ。この戦い、ドフラミンゴを倒せたとしても、そこで終わりにはならない。世界に大きな波紋を呼ぶぞ。君たちは、台風の目になる」
「ああ、そのつもりだ」
そんな会話をしたとき、王宮から幾度目かの派手な衝撃音が聞こえる。
「なんだ、今のは……、あれ、ルフィか?」
「知らねえ姿だ。ドフラミンゴの戦いの間に編み出したって言うのか?」
「なんて変わりようだ。本当にあれが麦わらなのか? あのドフラミンゴを圧倒するとは……すごい強さだ」
「だが、覇気を使いすぎてる」
「覇気を、使いすぎ?」
――『皆、聞いてくれ。私は元ドレスローザ国王。リク・ドルド3世』
「リク王の声だ…」
――『この国は今、現国王ドフラミンゴの決めたゲームによって逃げられない巨大な鳥カゴの中にある。さらにその凶暴な鳥カゴは、町を切り刻み、収縮を続けている。突如降りかかった現実に、感情がついてゆけぬまま…ただ、命を守っている現状だと思う』
国中に響き渡る声に耳を傾ける。リク王は言葉を紡ぎ続ける。これは夢ではない。かといって今日起きた悲劇というわけでもない。
10年間ずっと、海賊が支配するドレスローザという鳥カゴの中にいたのだと。操られるままに生きる人形だったと。
――『だがそれももう終わる! 誰も敵わぬと思っていたドンキホーテファミリーは、この国に居合わせた屈強な戦士たちの手によって、今や壊滅寸前。ファミリーの幹部たちはすでに全滅! 討つべき敵はもはや、現ドレスローザ国王、ドフラミンゴを残すのみ!』
リク王の演説に国民たちが沸き立つ。ルフィがドフラミンゴを倒してくれる男だと。希望の光だとリク王は言う。元国王という立場でありながら、見知らぬ海賊に国の運命を託すしかない己の無力さを痛感している。
だが、彼は叫ばずにはいられなかった。
――『勝つも負けるも、あとたった数十分! それまでは何としても生き延びてくれ! この縮みゆく国に、だれ一人押しつぶされることなく、走り続けてくれ! 息が切れても! 足が折れても! あと数十分、生き延びてくれ!』
希望はある。諦めないでくれ。
リク王の言葉は恐らくこの国にいる人間たちに刺さっただろう。
ルフィをドフラミンゴの糸が追う。追われ続けているかに思えたが、ルフィの両の拳がドフラミンゴを吹き飛ばした。
「あぁ…! 倒した…のか? ルフィが! なあロー! キャベンディッシュ!」
「すさまじい破壊力だ。これで生きていられるはずがない」
「…おい、空を見ろ」
「空? ッ……」
鳥カゴがまだ消えていない。ということはつまり、まだ、ドフラミンゴは生きていて、なおかつ気絶すらしていない。
「そんな……それじゃあ、ドフラミンゴは…」
「くたばってねえ。麦わら屋…」
「くっ…」
「あ!? ジーザス・バージェス。何故王宮に?」
「黒ひげ海賊団の?」
なんだってこんな時に……まさかルフィを狙ってんじゃねえだろうなあの筋肉だるま。