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「そういえばさ、冬弥、今日告白されてたよね…」私は見ていた。見学者用の木のほんと近く、冬弥が女の子に告白されてたことを。「あ、青柳くん!ずっと前から好きでした。私と付き合ってください!」
返事は「すまない。俺には好きな人がいるんだ。だから、君の気持ちには応えることができない。」安心してしまったのだ。でも、私は知っている。冬弥は今日複数人に告白をされるということを聞いてしまった。私もそれに乗っかったほうがいいのか、それとも身を引くべきなのか。
「…そうだな。された。だが、断った。想っている人がいるから。」
「へー、そうなんだ。ど、どんな人なの?」
聞いたら後悔するってことぐらいわかっていた。でも、どうしても知りたいんだ。
「どんな人、か。そうだな、夜空のように綺麗な長い髪、向日葵のように澄んだ目、裏表のない、誰にでも優しい性格、苦手なことはとことん苦手で、得意なことはとことん上手い、夢に向かって一心で、でも時には弱くて、背中を押してもらったこと、守りたいと思ったことが沢山ある、もっと色々あるが、まとめるとすれば、そんな素敵な人だ。」
ああ、冬弥にこんなに褒めてもらって、その人はどんなに幸せなんだろう。どんな人か想像するたびに心が痛くなる。
「…白石は、どうなんだ?」
「私?私は…本当にカッコよくて、正義感が強くて律儀で、天然なところもあるし、そうじゃないときもある。私の心に寄り添ってくれたり、ほら、今だってこうやって話t……あ。」
ついポロリと口に出てしまった。もう、これ一番卑怯な告白の仕方じゃん、もう今日は何もかも上手くいかない。
「冬弥、今のは忘れt…!?!?」
冬弥の顔、見たことないくらいに真っ赤だ。
「…俺も、白石が好きだ。」
「え!?!?嘘、でしょ…」
「嘘ではない。出会ったときからずっと好きで、でも白石は他の人が好きなんだと決めつけ、常に自分の気持ちを隠し通そうとしていた。でも辛かったんだ。だが、今ようやく想いが通じたとわかって、とても、嬉しい。本当に、大好きなんだ。」
「えっ、えっ」
そんないっぱい言われたらもっとパンクしちゃうでしょ!
「……だから、白石。俺と付き合ってくれ。」
返事はそう、決まってる。
「はい!私でよければ!」
体育祭、出れなかったから神様が味方してくれたのかな?ありがとう、本当に。
END