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棚の一番上に並んでいた調味料に、咲は背伸びをして手を伸ばした。
あと少し――そう思った瞬間、横から伸びた大きな手が同じ瓶に触れる。
「……っ」
驚いて視線を上げると、悠真がこちらを見下ろしていた。
「危ない。無理するなよ」
軽く瓶を取って、何でもないように差し出してくる。
「……ありがとうございます」
受け取った瓶を胸に抱えると、指先の震えを隠すようにぎゅっと握った。
ほんの一瞬、手が触れたわけじゃない。
それでも――触れそうになった距離が、妙に胸をざわつかせていた。