テラーノベル
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買い物袋を手にレジを出ると、入口付近で亮が待っていた。
「おー、ちゃんと探せたか?」
「うん。全部そろったよ」
咲が袋を掲げると、亮は満足そうに頷いた。
「よし、じゃあ帰るか。……お前ら二人とも気ぃ利くな。助かったわ」
カートを押しながら笑う兄の横で、咲はそっと悠真の様子を窺う。
悠真はただ袋を持ち直し、いつもの穏やかな顔で歩き出した。
――けれど並んで歩くその距離は、昨日より近い気がして。
咲の心臓は小さく震えていた。
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