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「放課後、窓際の恋」
7月の終わり。
テストも終わって、あとは終業式を待つだけの退屈な放課後。
「はぁ…ひま。」
DDは窓際の席に座って、外をぼーっと眺めていた。
部活にも行く気になれず、誰かが声をかけてくれるのを待っていた。
そのとき__
「…DDっていつも教室残ってるよな。」
振り返ると、そこにいたのは同じクラスの、ちょっと無口な男子・うみにゃ
クラスでは特別仲良くもない。
でも、たまにノートを貸してくれたり、体育でペアになったときにだけ、ちょっと優しい。
「ひまなんだよ。」
俺はそう返して、わざと視線をそらした。
するとうみにゃは笑って、俺の机に肘をついて言った。
「…じゃあ、オレと付き合ってみる? 暇つぶしに。」
冗談みたいな顔だったけど、目は真剣だった。
ドキッとした。
心臓の音が教室に響いてるんじゃないかってくらい。
「…ひまだし、いいかもな。」
そう言った俺に、うみにゃは少し驚いた顔をしたあと、ふっと笑って、こう答えた。
「じゃあ、ほんとに今日から俺の彼女な。」
そのまま手を取られて、教室を出る。
夏の夕方の光が、廊下に2人の影を映していた。