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「あー腹減った早く焼いてやー」
夕刻。バーベキューが開始される。
シャオロンがお腹をさすりながら口を開いた。
「今焼いとるからちょっと待てや」
トントンが手際よく串に刺さった肉たちを焼いていく。
「モルモル!ペコォ!」
「なぁ、モルペコもお腹すいたよなぁ」
足元にいたモルペコを抱き上げると、色が変わっていることに気付く。
黄色かった体は黒と紫に変化し、目も真っ赤になっている。
「やばい!モルペコが空腹や!」
焦りだすシャオロン。
モルペコは空腹ホルモンによって姿が変わるポケモン。
お腹が空くと凶暴になり、満たされるまで暴れまわる。
「ヒバー」
コネシマの足元にいたヒバニーが、コネシマの服をちょいちょいと引っ張る。
「何やヒバニー、遊び足りへんのか?」
「ヒバ!」
「ご飯食べたら遊んだるからなー、いだぁ!!!!」
コネシマの顎に飛んできたモルペコの頭突きがヒットする。
コネシマはその場に倒れた。
「ヒバァーーーー!!!」
駆け寄るヒバニー。
「モルペコ落ち着け!もう食べれるから!」
「モルペッコォォォッ」
モルペコは止まらず、今度はロボロの頭に乗り髪をむしゃむしゃと噛んだり引っ張ったりする。
「いだだだだだっ!!!ハゲる、ハゲるて!!」
「ぱもぉぉぉッ!!」
すかさずパモが主人を守るように電気を帯びてモルペコに体当たりする。
しかしスッと避けたモルペコのせいで、ロボロが痺れた。
「ぱもぉ〜!!」
「ええんやで、パモ。大丈夫やから」
ビリビリと痺れながら、ロボロはプスプスと煙を上げる。
「シャオロン!焼けたで!」
トントンが焼けた串をシャオロンに渡す。
「よっしゃ、モルペコ!目を覚ますんや!」
次に鬱先生を襲おうとしていたモルペコに、シャオロンが串を差し出した。
モルペコは何も言わずにムシャムシャとそれを食べだした。
大人しく座って肉を頬張るモルペコに、皆が息をつく。
「あー、もうちょっとで大先生が襲われるとこ見れたのに」
「縁起でもないこと言うなゾム」
つまらなさそうなゾムと、眉間に皺を寄せる鬱先生。
「ほら、焼けてきたからみんな食べや。ほれ、トンも」
トントンの足元にいたグルトンが、差し出された串の匂いをクンクンと嗅ぐ。
そしてパクリと食べた。
「美味しいかトン」
「プギー」
「そうかそうか。お前の口に合って良かった」
微笑ましそうにグルトンを見つめるトントン。
そんな中何処からか長ーい舌が伸びてきて、器用に串を持ち自分の口へ運んでいく。
「美味いかケロマツ」
「ケロケーロ」
ゾムの足元で、ケロマツは目を細め静かに肉を頬張った。
「あれ、雪乃ちゃんは?」
1人姿の見えない雪乃のことを気にする鬱先生。
「後で食うってさ」
肉を頬張りながら、春翔が答える。
「そか…。一緒に食べたかったんやけど」
「ゾムがおるからなぁ」
「連れてこよか?」
「やめろアホ」
両手に串を持ちながら離れに向かおうとするゾムの服を引っ張るロボロ。
「一緒に食べた方が美味いのになぁ」
トントンが呟き、ポツリとひとつだけ電気のついた離れを見つめた。