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.『事務の与那嶺です。
そちらに入院したさくら はるか君の保護者と連絡が取れたんですが…』
楡井「はい」
.『ご両親と思われる方が電話に出たのですが、
“うちの子ではない”
とハッキリ言われてしまって』
.『祖母の方に預けたと言われて祖父母の家を確認したのですが、もう既に亡くなられていて…』
『どこもかしこも、さくら はるか君の親と名乗る人がひとりも……』
楡井「…保険証とか母子手帳の方はどうですか」
.『なんとか交渉して、
持ってきてくれることになりました 』
楡井「了解しました。とりあえず保険証とか小児科病棟に移送してください」
.『はい。わたくしたちの方で児童相談所などへ連絡します。よろしくお願いします』
楡井「はい」
ピっと通話を切る。
楡井「(あんなに小さい子を”自分の子じゃない”?
しかも放置した挙句いい加減な態度って…)」
蘇枋「あ、にれ君。先生来たよ?」
楡井「本当だ。蘇枋さん、この後さくらさんの保険証と母子手帳届くと思うんでお願いします」
蘇枋「はいよ。いってらっしゃい」
それから数分して、資料ふたつが蘇枋の手元に届いた。
蘇枋「…桜遥君か。花の桜は珍しいな」
母子手帳の表紙に書かれている子どもの名前の欄を見て、蘇枋は漢字を確認した。
蘇枋「…ひどいなぁ、これは」
予防接種や3ヶ月検診などの記入欄が何一つ書かれていない。
唯一埋まっているのは、出産当時の出血量や陣痛時間などの母親に関すること。
それ以降は汚れもしていなかった。
蘇枋「まさかここまでとは…」
一通り目を通し、母子手帳を置こうとした時…
.「おっ。おはよう蘇枋!」
病棟には合わない明るい”すぎる”声が後ろから聞こえた。
蘇枋「…そんなに大きな声出なくても、聞こえてますよ」
「梅宮さん」
梅宮「悪かったな。かなり集中していたように見えたからな」
風鈴総合病院 小児科医師 梅宮一。
ハイテンションで優しく、患者みんなのお兄ちゃんである。
子どもたち曰く、『いちばん先生っぽくない先生』として親しまれている。
蘇枋「入院してきた子の母子手帳読んでたんです」
梅宮「あぁ、今日のか」
蘇枋「見ます?色々訳がありそうなんですが」
一旦読む、と言って適当に目を通し、
梅宮は2分もしないうちにパタンと閉じた。
梅宮「よし、じゃあ早速会いに行くか!」
蘇枋「いつものハイテンションだとビックリされてしまいますよ」
梅宮「それくらい管理するさ」
蘇枋「梅宮さん、一旦ここで待っててもらえますか?」
梅宮「お、何か作戦があるのか?」
蘇枋「いえ特に。ただ話してからの方がパニックになりにくいかと思いまして」
梅宮「なるほどな」
コンコンッ
ドアを優しく2回叩く。
少し扉を開くとベット中央で窓を覗く桜の姿があった。
先程のような金属音はすっかり止み、
落ち着いた様子だった。
蘇枋「桜君」
名前を呼ぶと、桜はクルッと蘇枋を向く。
桜「……」
まだ警戒しているが、最初に話した頃よりは
怯えていない。
近づいても後ずさりしないようになった。
蘇枋「2回目のおはようだね、桜君」
桜「…コクッ」
蘇枋「今から桜君の身体が元気か調べたいんだけど…いいかな」
桜「…なに、する」
蘇枋「そうだなぁ。胸の音聞いて、喉見てもらったら終わりだよ」
桜「…いたい」
蘇枋「痛くないよ」
桜「…じゃぁやる」
蘇枋「えらいね。桜君」
桜「……うん」
蘇枋「それで別の先生ここ入ってくるけど大丈夫かな」
桜「コクッ」
蘇枋「ありがとう。じゃあオレ呼んでくるから待っててね」
蘇枋「梅宮さん、OKです」
梅宮「うし。じゃあ行くかぁ」
さかな
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#WB夢
紅葉 転生
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コメント
1件
第7話読み終えたわ…。親が「うちの子じゃない」って、しかも母子手帳の予防接種欄も真っ白って、桜くんがどれだけ放置されてきたか一瞬で分かっちゃうのが辛い。蘇枋さんの「痛くないよ」って優しい声かけ、ああいう細かい気遣いが刺さる。梅宮先生のテンションも相変わらずで安心した。次が気になる〜🔥