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本気にさせたい恋

87 - 第87話  嫉妬とプライド①

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2024年09月22日

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そして、外回りを終えまだ確認しなければいけない仕事が残っていたので、神崎さんとまた会社へ戻って来た。

ちょうど会社の就業時間も終わった後で、まばらにいる残業から帰る人たちの流れと逆に、オレは神崎さんとその後の確認をしながらロビーを歩いていく。


そして、ロビーの先の方にふと目をやると・・・。


・・・透子?


遠くの方からこっちに近づいて来る透子を見つける。

遠くからでも気付くその姿。

ずっと会いたくて仕方なかった人。

どんなに遠くてもその姿を見ると一瞬でこの胸は満たされる。


今仕事終わって帰るとこ?

さっき透子に会いたいって思ってたとこで、この偶然の出会いはやばい。

なんだかんだ忙しくて、偶然社内で会うこともなくて。


親父の病院以来に偶然会えた喜びを噛み締めながら、その姿に嬉しくなって一瞬口元が緩んだら・・・。


まさかの人物が隣にいるのもすぐに気付く。


・・・は?

なんであの男が透子と一緒に・・・?


少しずつ近づいて来る二人の姿と共に、その隣にいる男が透子の前の彼氏だと確信に変わる。

自分の中でその状況が整理しきれないまま、どんどん近づくその距離。

さすがにオレは一瞬で自分の表情が険しくなったことを自覚する。

そんなオレとオレの表情に気付いた様子の透子。

それを確認したからか、少し俯き加減のまま歩いて来る。


何? この気まずい雰囲気?

だけど、さすがにこの状況は見過ごすわけにいかなくて。


「お疲れさま」


声が届く距離まで近づくと透子にさりげなく挨拶をする。


「お疲れ様です」


そんなオレの挨拶に気付き、透子もさりげなく空気を察して挨拶を返してくる。


「どう? プロジェクトは順調にいってる?」


いざ目の前で並ぶ二人の姿を目にして。

透子の相手はオレだとわかってはいても、やっぱり昔を思い出して少しモヤッとする。

だけど、そんな気持ち、やっぱり気付かれたくなくて、オレは余裕なフリして声をかける。


「あっ、はい。そうだ・・。隣のこの北見さんこれからプロジェクトに参加してもらうことになって」


すると、すかさず透子がそう説明してくれる。


なる・・ほど・・。

仕事でまた一緒ってことか。

って、プロジェクトってオレたちの・・?


「あっ。早瀬さんですよね?」

「はい」


するとその男性が声をかけてくる。


「はじめまして。今度早瀬さんの代わりにプロジェクトでサポートで参加させてもらいます大阪支社から来た北見涼です」

「オレの代わりに・・?」


知らなかった。

まさかオレが抜けたことでこんなことになっているなんて。

正直オレがメインで動いていたプロジェクトなだけに、オレが参加出来ないことは相当の大きな穴になることもわかっていて。

透子は当然出来る人で、透子も一緒にリーダーとして進めてくれていることで、このプロジェクトで維持出来ていることはあるけれど。

でもうちの部署でメインに進めていたことは、女性である透子には難しいことが少し出て来たりするのも確かで。

そのオレのポジションに、わざわざ大阪支社から呼び戻され任されたこの人の実力は、悔しいけれど納得せざるを得なくて。

透子の前の男としては認めるわけにもいかないし、敵対心があるのは確かだけれど。

でもこの会社に入って、オレもそこそこ活躍するようになってから、度々この北見という男性の凄さはオレの耳にも嫌でも入って来るほどだった。

本社にいた頃の活躍や、その活躍を買われて大阪支社にも抜擢されて期待されているということを知って、正直透子がそこまで好きになるだけの男なんだと、密かに落ち込んでいた時もあった。

実際今オレはプロジェクトから離れ、社長業を勉強していることで、プロジェクトのことは、そこでの上司が指示をして取り仕切っているだけに、この人へ話がいったことは、オレの耳には届いていなかった。


「ええ。あっ、そういえば、オレ達はじめまして、ではないですよね、早瀬さん」

「ですよね。覚えてますよ、もちろん」


透子の彼氏のフリをした時のあのことを、きっとこの男は言っているのだろう。

あの時と違ってどこか余裕を感じるのは、きっと気のせいじゃないはず。

だけどそれに流されずオレは冷静を保たせる。


「オレの代わりに、すいません。わさわざ大阪支社から」

「いえいえ。オレの経験がこのプロジェクトにお役に立てるなら喜んで」


正直、不本意ではあるけど、プロジェクトに関してはきっとこれが正しい判断。


「すいません。これからいろいろとよろしくお願いします」

「ええ。任せて下さい」


やはり予想していた通り、この人はオレより余裕な落ち着きを醸し出していて。

必死に動揺を隠して冷静を装ってるオレとは結局違うのだと思い知る。


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