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くたくたになって家へと帰宅し、そのままポストを開ければ封筒が入っていた。差出人に目を向けると日本フットボール連合の文字が。

見間違えかと2度見_いや、5回くらい見直したと思う。

何せ私はサッカーなんてしていないし、何ならルールだって曖昧だ。有名な進学校で、サッカー部のマネージャーをしているから、何かすごい才能を持っていると勘違いをされてしまったのだろうか。最近はメディアにもよく取り上げられていたし……。

入れ間違いかと思い中身を確認してみたけれどやはり、そこにはしっかりと私の名前が書かれていた。

「青い監獄……?」


どうやらあの手紙は凪くんと御影くんにも届いていたようで、2人が手紙について話しているところに「あ、私にも届いてたよ」と口を挟むと勝手に行く流れに持っていかれて、気づけば当日。

会場へは御影くんが送ってくれるようで、迷う心配はなさそうだ。でも、いつになってもこの高級車に乗るのには慣れない…。凪くんと御影くんはノンアルコールスパークリングワインというものを飲んでいたけれど、私は飲めないから特別にレモンティーとオレンジジュースを用意してもらっている。私は炭酸系は無理だし、ノンアルコールなんたら…っていうのは飲まず嫌いしている。

今日はレモンティーを飲みながら車に乗っていると、会場近くまで到着したようで、凪くんがばあやさんにチョキを預けてから会場へ歩いた。


「緊張する」

すごそうな建物を前に、今更だがこんな所に本当に私が来ても良かったのだろうか?と葛藤したが引き返すことはせず、再び足を進めた。










ギッという音と共に扉が開く。扉の先には大勢の人が居て、思わず「わ……」と声を漏らしてしまった。

怖そうな人たちもいて、本当に緊張してきた。私が今から何かする訳でもないんだけど、人が多いと緊張する質なものなので仕方がない。その大勢からの視線が自分に向けられた時なんて想像するのも恐ろしい…

「如乃?何かあった?」

「大丈夫、怖くないよ」

考えているうちに表情が暗くなっていたのか2人が話しかけてきた。今考えるべきことではない、と1度考えていることを忘れるようにし、適当に空いている場所を探すことにした。

そして、2人と雑談を交わしていると前から声がしてくる。










前で喋る彼の名前は絵心甚八というらしい。どうやらここにいる人たちは私を除く全員ストライカーで、世界一のストライカーを創る実験の為に集められたようだ。

青い監獄と書いてブルーロック。

日本がW杯優勝する為にはイカれたエゴイストが必要だ、と絵心さんは語った。何かすごいね。でも何故そんなプロジェクトに私が呼ばれたのだろうか。と更に頭の中で疑問符が乱舞した。

そうして自分が何故ここへ呼ばれたのかについて考えていると一人の男の子が走り出し、それを合図に他の人達も前へと走っていった。ゲームで例えるとチュートリアルが開始した時のあれ。

進んだら始まるようになってるのかな。青い監獄…監獄だというなら閉じ込められる…というべきなのか?正直話をよく聞いてなかったからこれから何をするか分からない。エゴとかなんとか言っていたのは覚えているけれど。

「あのチビ…」

チビ?最初に走り出した人のことだろうか。あの人も身長高い方だと思うけどなぁ。




あれ、この2人は全然行かないな。と思っていたところで絵心さんと目が合った。ちょいちょい、と手招きしてくる。こっちに来い、という意味であろう。きっと私が何故ここへ呼ばれたかの説明。

「早く誠士郎くんと玲王くんも行っておいで」

催促する言葉をかければ凪くんは行かないよ、めんどくさいし。と返してきた。

じゃあなんのためにここまで来たの?と凪くんの自由さに怒りよりも理解不能だった私と、似たような思いなのか、御影くんが「おい凪、せっかくここまで来て…」と引き留めようとした。だが、凪くんは「W杯の優勝ゴールなんて俺には簡単に思い描けたし」と言い放つ。

私はサッカーについての知識がほぼほぼないのでW杯優勝ゴールについてもよく分かっていない。でもサッカーの大会で優勝するんだから多分すごいことなんだろう。それに対してこう言い切れるのもすごいと思う。こういうのをエゴだと言うんだろうか……いや、何か違う気がするけど。さっきまでずっとエゴの話を聞いていたからエゴしか思いつかない。

すると絵心さんが凪くんの言葉を否定して、そして、その否定に対して御影くんが言い返す。

喧嘩のようにならないかと不安に思っていると、当の本人は呑気に「帰る」など言い私の手を引こうとしていた。

本当になんでここまで来たんだよこいつは、と心の中で悪態をついたが口には出さず、黙って手を引かれようと思っていたところで御影くんが引き止めてきた。2人でW杯優勝しようぜ、だって。そこに私も「頑張っておいで」と言葉を重ねるとやっと凪くんも行く気になったようだった。別に凪くんがこれに参加しようがしなかろうが私には関係ないけれど、ここまで来たんだから急に引き返すと言い出すのはやめて欲しい。

お前は行かないのか、というような視線を送られたので「私はここでちょっと話聞いてから行くね」と返して絵心さんに話を聞きに行った。


ストライカーでも何でもない私がここへ呼ばれたのは、やはり白宝のサッカー部のマネージャーであること。(凪くんと御影くんも関係しているらしい)それと、雑用が足りていなかったので丁度良いか。ということらしい。雇えばいいのに。


うーん。スポドリ作るのとタオルの用意くらいなら私でもできる。しかも学校行かないでいいしお金もらえるしもういいか…と思ったので、2人のあとをついて行くことにした。




ちなみに、その後帝襟アンリさんという巨乳の綺麗なお姉さんを紹介された。結構仲良くなることが出来たと思う。それと、アンリさんと絵心さん以外に青い監獄で雇われている人がいなかった、と聞いてすごく驚いた。なんでも、お金がないらしい。

そして一通りの説明を受けた後ブルーロックへと向かうバスに乗り込んだ。寮へ向かうらしい。

私のバスの隣の席は御影くんだった。てっきり御影くんは凪くんと座っているのだと思っていたので驚いた。誠士郎くんと隣じゃないの?と聞けば「如乃が他の奴と隣になっちゃうだろ?」と言っていた。別に私は気にしない。ゲームしてるし。いや、すごい怖そうな人だと流石に気にするけど…。

それに御影くんはこんなこと平気で言っているが私たちは付き合ったりはしていない…はず。恋人がするようなことを平気で御影くん…いや、2人はするので偶にこれが普通なのでは??と錯覚しそうになることもある。落ち着け私。

まあ、色々と考えるのは後にしようと結論付け、自分はゲームに集中することにした。いつも後回しにするから面倒くさいことになるんだけどね。まあ分かってて後回しにする私も私か。

そして、イヤホンの準備も終わったのでゲームを始める。






「こいつぜんぜん死なん…」

あまり考えずに攻撃をしていても武器やキャラのレベルが高いのでその辺にいるやつは倒すことが出来るけれど、今回の敵は例外だったようでなかなか倒れてくれない。流石にボスはちゃんと色々考えないと結構きついよね。

でもバスの中で、テクニックを使い戦えば……というか画面しっかり見れば酔いそう。バスに乗るなんて聞いていなかったから酔い止めを飲んでいないので。酔いやすい人大丈夫かな?ちょっとだけ酔いやすいという私ですら、のんびり画面見るだけでもきついし。いや、酔いやすい人はゲームなんてしないか。


「…あ、これ凪がやってたのと同じヤツだ」

でもボスを倒すためにはしっかり画面を見るしか…と考えていた時、隣の御影くんが私のゲーム画面をのぞき込み呟いた。

私のゲームをしているところを、ずっと見ていたようだ。

「本当?レベルどのぐらいなのかなあ…」

「あ、死ぬ」

喋っていればライフがギリギリまで減ってしまっていたのでまあ酔わないよね大丈夫大丈夫、と持ち前のゲームテクニックでなんとかボスをやっつけた。今までに培ってきた自分のゲームテクニックは、数少ない私の長所であると思っている。伊達に引き篭ってないんでね。あ、最近は引き篭りもマシになってきたけど。


「え、レベル231?」

今度は凪くんが私のゲーム画面を覗き込みそう言った。そしてさっきまでゲームをみていた御影くんは、今はゲーム画面ではなく私の方を見つめていた。気まずい。

「凪くん後ろだったんだね…うん、そうだよ」

「すご…俺今102だよ」

「え、それもすごい。このゲーム難しいし102でもすごいよ。よくやってるの?」

レベル70程で諦めてしまう人が多いのでお世辞ではない。それにレベル102まで進むならかなりの時間が必要なので、誠士郎くんもかなりやり込んでいるのかな。

「うん、結構やってるけど最近は進み遅い。さっきもやってたけどゲームオーバーになっちゃった」

「あー…なんだっけ、そこら辺のボス…」

「fakeMonster」

「そう、それだ」

「フェイクモンスターっていう名前の癖に強いよね。偽物って弱そうなのに」

「ね。私もそこ結構攻略に時間かかったよ」

でもここのモンスターを攻略してからはゲーム技術も身について勝ちやすくなったような気がする。頭の中で○○+○○=○○▶︎勝てる!みたいなものが出来るようになったんだよね。まあ何事も経験と言うものです。

「ニセモノってことはホンモノもいるのかな?」

「あ、それね。フレンドさんから聞いたんだけどLv300でRealMonsterっていうのと戦うらしいよ」

このゲームはかなり難しく、一時期は流行ったが難しすぎて出来ない、イライラする、とどんどん人が少なくなっていき今では通しかこのゲームはやっていない。なので身近な凪くんがしているのはかなり熱い。そして100より上のレベルは本当に難しいので100以上の人は凄くゲームが上手い人、200以上の人は人間とは思えないくらいの猛者。という認識である。

私も200以上なので猛者、この界隈ではかなり有名らしい。このゲームは個人でしていくのがメインだけれど、オンラインマッチとフレンドマッチもサブとしてある。だがオンラインマッチとフレンドマッチは勝っても貰えるポイントやレベルが少ないので偶にしかしない。その偶にオンラインマッチをした時はチャットで色々反応されるのだ。最初は大袈裟だなと思っていたが大袈裟ではなく、自分がかなりこの界隈では名の通ったプレイヤーだからだそう。自惚れちゃうね。

話が変わってしまったがとにかくこのゲームの説明である。

「まじ。やっぱりニセモノってことはホンモノいるんだ」

「ね、fakeでも結構むずいのにrealとかやばそう…」

「如乃もうちょっとで250だしね」

「うん」

「如乃のプレイヤー名ってなに?231とかなら結構有名でしょ。」

「もころだよ。如乃の如の違う読みから取ってきたの」

「え、ほんと?あのもころさん?」

「あ、知ってた?」

「うん、めっちゃ有名だからね。そういうのに疎い俺でも知ってるくらい」

「そんなに有名なのか…」

あんまり自分の知名度とかって分からないよね。ランキングとか毎回上位にいるから?レベルランキングとかイベントとかの。ネットに気分でプレイ動画あげてるから?確かに動画は伸びてるけど。

「どこで私のこと知ったの?」

「気づいたら知ってた。多分このゲーム…というか、ゲームの通の人とかはほとんどの人が知ってると思うよ。」

他のゲームも上手いじゃん?と言われ確かになあと納得した。確かに他のゲームでも同じ名前でランキング上位にいるからゲームしている人からしたら必然的に覚えるのかな。自分ってすごいんだ、と調子に乗ってしまう。プロへの誘いも来るくらいだし、すごいんだろうけど。


「…如乃と俺は愛し合ってるのに、如乃のことで知らない事があったのがムカつく。なんでも知ってたかったのに…なんで言わなかったの?」

急に凪くんが表情を暗くしたと思えばそんなことを言いだした。相変わらずぶっ飛んでいる。さらっと「愛し合ってる」とか言ってるし。面倒くさいなあ…

「言うの忘れてた。ごめん」

「…ちゃんと謝れたから許してあげる。如乃のことをいちばん知ってるのは俺だから」

許してあげる。とか言っているけれど、悪いことをした覚えは全くない。「私はもころです」とか急に言われても、は?ってなると思うし。それこそ凪くんみたいなゲームをよくやる人にしか伝わらないよ。


「あ。着いたのかな」

「止まったね」


どうやら目的地に到着したらしい。窓から外を見てみると、BLUEROCKと書かれた大きな建物があった。すごい、こりゃお金も無くなる。それと、すごい山の中だった。

「高そう」

「だね」


到着すると、アンリさんが待ってくれていた。

「それでは一旦荷物は全て預からせて頂きます」

…荷物を没収されるらしい。いつ返されるんだろう…。というか私は雑用なんだから没収とか必要ないか。

「私もですか?」

「…うん、とりあえず」

「いつ返されるんですか?」

「選手のどなたかにゴールポイントを使用して貰えば…ですかね…。一応絵心さんには後で確認しておくね」

もしそうなるならば、凪くんか御影くんに頼むしかない。雑用係なのに没収とか必要あるのかなあ。あ、外部に情報を漏らさせないためとかか…。とりあえず、前にいる御影くんにお願いすることにした。なので荷物を握る手を離して、凪くんと御影くんの方へ向かう。待っていてくれてたみたい。

「ねえ御影くん、ゴールポイント…?で、私のスマホ返却して欲しいな」

断られたらどうしよう。ブルーロックプロジェクトを公にすれば私のスマホは返却して貰えるだろうけど、それまでスマホを使えないのは耐えられない。

「如乃からキスしてくれたらポイントあげる」

「うーん…」

「嫌なの?」

普段の明るい声よりかなり低くした声でそう言われた。こうなると怖いから、私はその条件を飲むことにしよう……私がやっもらう立場だし、この言い方は上から目線すぎるな。

「わかった。ありがとう、頑張ってゴール決めてね」

「…やっぱり、如乃のことを1番理解してるのは俺だ。恥ずかしかったのに嬉しいって言えてえらいな」

そう言って頭を撫でられたけど、私は嬉しいとか一言も言っていない。

そもそも何故2人は、こんなにも私にこだわるんだろう?モテるし、選びたい放題だろうに…そう考えていた所で2人に声をかけられた。


とりあえず建物の中へ入ろう…ドキドキするな。

青い監獄の人達がヤンデレだった件

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