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青薔薇の良く似合う人がいた 。
どうしようもなく その人を愛していた 。
「 鈴夏 」
そう呼ぶ貴方の声を
『 鈴音 』
私と言う赤薔薇は覆っていた 。
どうしようもなくキレイで 隠していた 。
似ても似つかないような 鼻筋
背まで伸ばした髪 勉学に長けた頭脳 。
< 市内では 熱中症患者が _
加え 人を思う心が桁違いに純粋で 。
『 … 行ってきます 』
静かな声が
リビングで湧き起こる笑いに溶けた 。
だから 、 嫌いだった 。
私から全てを奪った貴方が大嫌いだった 。
でも 、 大好きだった 。
貴方の顔が 、才が大好きで堪らなかった 。
だから
「 … 殺して 」
だから 、 心底嬉しかった 。
『 どうして ? 』
「 私は沢山人を傷付けてきたの 」
「 こんな私 生きてていいはずがない 」
貴方がこんなに劣った私に
最後を看取らせてくれたこと 。
『 … うん 、そうなのかもね 』
「 鈴夏の何でも肯定する癖 」
「 私は好きだよ 」
貴方の心の片隅に私がいたこと 。
『 鈴音のキレイな所が 、 大好き 』
「 なら綺麗なままで殺して 」
「 醜くなる前に 、 私を殺して 」
青薔薇のように何にでも優れた貴方の
直しようのない欠点を知れたこと
『 … うん 』
「 死のう 」
「 この絵が完成したら 、 死のう 」
貴方はどうしようもなく
自分を愛せない事
「 鈴夏は優しいから 」
「 きっと 、 殺してくれないんでしょ 」
『 … いや 』
『 もう何回も殺しちゃったよ 』
いつも貴方の顔には青薔薇を介して
本当の顔は見えず 、
棘のある薔薇だけを見ていた 。
青薔薇 と言う結果だけを見ていた 。
対して 私はただの赤薔薇 。
青薔薇は天才的で 、最高に優れてて
赤薔薇は普通で 、劣ってて
「 … うん 、ありがとう 」
雨の降るあの日の
月がオレンジに輝いていたあの夜
私の赤薔薇は枯れてしまったし
貴方の青薔薇は
降り注ぐ雨に色を溶かしてしまった 。
水溜まりには
赤と青と 、 そして白が浮かんでいた 。
コメント
7件
なんて綺麗なお話…🥲 表現の仕方が本当に大好き🫶🏻💖 ちょ、フォロー失礼します🙇♀️
心中万歳 お前もしや夏好きか
え 、 好 き 最 高 過 ぎ だ よ ~ 🫰🏻