光が、世界を包んだ。
音も、痛みも、
感情さえも溶かしながら、
すべてが――巻き戻されていく。
気づけば、
時間軸は過去に戻っていた。
ここは、FPE。
血も、悲鳴も、
怨念も存在しない。
廊下には笑い声。
教室にはざわめき。
教師は生徒の目を見て話し、
生徒は安心して質問をする。
――普通の学校。
かつて、
教育という名の下で
犠牲になったはずの教師や生徒たち。
誰一人、欠けていない。
誰一人、歪んでいない。
すべてが、
「正常」に生きていた。
校舎の中庭。
リンクは、
静かに空を見上げていた。
「……書き換わったのか」
風が、リンクの英傑の服 の裾を揺らす。
「なら──」
リンクは、
ゆっくりと振り返る。
そこには、
共に戦った仲間たちがいた。
エンゲル。
スカル。
タヴェル。
ルビー。
そして――ブルーミー。
全員の目に、
記憶が残っている。
それだけで、 十分だった。
「俺は……帰れるだろう」
誰も、 止めなかった。
リンクは、
それを“信頼”だと理解していた。
「正しさとは何か」
「それを考え続ける限り、
平穏は簡単には崩れない」
リンクは、
ブルーミーを見る。
「その均衡を、
君たちに託す」
ブルーミーは、
静かに頷いた。
「……任せて」
その瞬間、
シーカーストーンが光を放つ。
淡い、
しかし確かな導きの光。
リンクは、
一歩踏み出す。
「ありがとう」
光に包まれ、
彼の姿は――
遥か彼方へと消えていった。
ここは、FPE。
生徒と教師が、
きちんと向き合う場所。
何の変哲もない、
普通の学校。
だが――
一つだけ、
噂話がある。
今、勤務している
科学の先生について。
・夜遅く、彼女の部屋から
女神の光が漏れることがあるとか。
・保管庫に、
刀身のない剣が置かれているとか。
・ときどき、
誰も知らないはずの
“過去の出来事”を話し出すとか。
卒業や転勤の末、真実を知る者は、もう ただ一人だけ。
ブルーミー。
彼女は、
今日も教壇に立つ。
変わらない日常の中で、
確かに――
守るべき均衡を抱えながら。
世界は救われた。
だが、
それを忘れない者がいる限り。
この学校は、
二度と同じ過ちを繰り返さない。
――物語は、
ここで終わる。
そして、
日常は続いていく。






