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「やっぱり静かだね。」
そのセカイは、私の想いから生まれたセカイらしい。ミクがそう言っていたんだ。
「でも、静かだけど、この優しい音色も綺麗だな。心が落ち着くよ」
すると、絵名が座って言った。
「二人も座らない?長くなると思うんだ」
「うん、わかった。ゆっくりでいいからね、絵名」
その言葉を聞くなり、絵名は一呼吸おき、静かに話し始めた。
「私のお父さんはね、画家だったんだよね。その縁もあって、小さい時から絵を描いてて。初めは絵が好きだったから描いてた。でも、少しずつ目的が変わっていった。私も画家になりたいって思うようになったんだ。だから小学校に入ったあたりかな。そのあたりから本気で絵を始めたの。描いてる時はすごく楽しくて、実力がみるみる上がっていくのがはっきりとわかって嬉しかったんだ。コンクールでも最優秀賞とか何回も取ってて。だから、少しずつ画家に近づいてるって思った。でもね、そんなことなかったんだ。中学の時にね、進路について考えたんだ。私は美術部がある高校に行きたかった。だから、お父さんに相談したの」
“お父さん、高校、どうすればいいかな。私、美術科がある高校に行きたいんだけど。
“美術科?
“うん。ほら、私って画家を目指してるでしょ?だからもっと、実力をつけたくて。
“やめておけ。
“は?
“お前に画家になれるほどの才能は、ない。画家は、多くの苦しみを抱えなければいけない。だから、やめた方がいい。
“で、でも!私、賞を何度も取ってて!私の今までの努力は無駄だって言うの!?
“ー。そうだ、お前には才能がないんだ。
“今までそんなこと言わなかったじゃない!なんで今更言うの!?
“言う必要がなかったからだ。本気で画家を目指してると思ってなかったからな。でも、本気で目指してるならはっきり言う。お前に才能がないからやめておけ。
“ー!
「その言葉はね、私の心にだ深く突き刺さったの。私の努力どうのこうのの前に、私には才能がなかった。苦しみを超えられる才能が私にはなかった。努力しても誰も認めてもらえない。だから、絵を諦めたの。書くだけ無駄。誰にも認められない絵を描くくらいならやめた方がいい。そう思ったから」
その言葉の一つ一つがすごく重かった。でも、はっきりとわかった。絵名は自分からやめた。でも、それでも絵名はまた描こうと頑張ってる。
「そうだったんだね。話してくれて、ありがとう」
「ううん。わたしが話そうって思ったから話したの。でもね、前にコメントを見てる時に見たんだ。”このイラストはこの曲があってこそだよな。このイラスト自体はそこまでじゃないし”ってコメントをね。」
「だから最近元気がなかったんだ」
「え、気づいてたの?」
「そりゃ当然だよー!だって絵名、珍しくぼくの話すことを素直に答えてたからね」
「まあ、変に返すのも疲れるからね。」
そう話す絵名の顔は沈んでいた。彼女が求めてる言葉はなんだろう。きっと一つしか、ないんだ。
「絵名、一つだけ覚えていて欲しい」
「え?」
「もし絵名の絵が周りに認められなくても、私たちが認める。絵名の絵はすごいって私たちが認めるよ。私たちは否定しないし、心から認めてる。私たちの曲は絵名の絵がなきゃ完成、しなかったんだよ。」
「奏、。」
すると、絵名が静かに涙を流した。良かった。絵名に届いたみたいだった。今、絵名が求めてるのは、慰めじゃない。ただ認められたかった。それだけの、ことだったんだ。
「ねえ、絵名」
「どうしたの、瑞稀」
「もしさ、周りに認められたかったらさ、認められるまで描き続ければいいんじゃない?」
「簡単に言わないでよね。すごく大変なの」
「でも、絵名は絵が大好きなんでしょ?なら、諦めるのはもったいないよ。大丈夫。絵名が苦しくなっても僕たちが支えるからさ!」
ふふ、と絵名が小さく笑った。
「ありがと。それじゃあもうちょっと頑張ってみようかな。」
「そう思ってくれて良かったよ!」
「うん。それじゃあ、戻って作業しようか。今回も多くの人に届くような曲を作ろう。絵名、瑞稀」
そうして私たちは、戻り、作業を進めた。