注意書き
・ブルーロックの二次創作です。
迷惑のかかる行為はお辞め下さい。
・相変わらずrnちゃんが可哀想
・270話のネタバレ
rnちゃんはナイトスノウに囚われてる気がする。
人は本当に悲しいとき、涙は出ないのだと知った。
兄ちゃんに酷い言葉を投げかけられたときも、軽蔑されても、涙は出なかった。ただ、胸にぽっかりと穴が空いたような感覚。
その穴は、呼吸をする度に酷く痛んで、先程の兄の言葉が頭を木霊する。
『消えろ、凛。俺の人生に、お前はもういらない』
嗚呼、兄ちゃんにとって俺っていらない存在だったんだ。消えてほしかったんだ。
そう、どこか客観的に事実を見つめていた。それが自分に吐き捨てられた言葉だと考えると、そんなことないって、心が否定する。
床に散らばったトロフィーの欠片。破れた賞状。ヒビの入った写真立て。
視界に入る兄ちゃんの面影が見えるものは全部壊したはずなのに、思考を過ぎるのはいつも同じ兄のセリフ。
味方だって、死ぬまで凛の味方だって、言ってくれたはずなのに。その言葉があったから、俺は「変だ」って皆から避けられても、嫌われても、頑張ってこれたんだ。兄ちゃんが味方だから大丈夫、って。
それなのに。
「⋯⋯⋯⋯っ」
兄ちゃんはいない。もう、俺のことが嫌いで離れていってしまったから。
その事実を認めたとき、両目から涙が零れ落ちた。留まることを知らないように、頬を濡らしていく。
怒りはない。ただ、寂しい。雪の中を、独りぼっちで凍えるのは、嫌だから。
「にぃちゃ⋯⋯っ」
痛い。痛い、痛い。胸をナイフで刺される。心臓は血を流して、鼓動が弱くなっていく。
兄が、悲しんでいる俺に駆け寄ってきてくれる。というくだらない妄想をして。その度に、もう兄ちゃんは居ないと、自分の心の傷を抉って。
冷たい雪の中に取り残される。独りで。たった独りで。
妄想の中の兄ちゃんが口を開く。冷えきった目で俺を見て、一言。
『欠陥品』
──⋯⋯暗転。
目が覚めると、ベッドの上だった。カーテンの隙間から、淡い朝の光が漏れている。目元は濡れていて、隣にはなんの体温も無かった。
いつもより冷えた部屋の空気。外には雪が積もっているのだろう。でも、それ以上に、
(隣に誰も居ない⋯⋯。)
それが、寒かった。
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