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クッキー
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昼休み。
授業が終わると、俺たちはいつものように机を寄せていた。
弁当を広げながら、らんが突然口を開く。
らん「そういえばさ、みんな好きな食べ物って何?」
こさめ「急だね、らんくん」
らん「なんとなく気になった!」
いるま「俺は肉」
なつ「ざっくりしすぎ」
いるま「じゃあ焼肉」
なつ「もっとざっくりしたな」
こさめ「こさは甘いものかなー」
らん「分かる!」
こさめ「らんくんは?」
らん「俺? 俺は……オムライス!」
いるま「子供かよ」
らん「うるさい!」
みんなが笑う。
俺も弁当を食べながら、その会話を聞いていた。
みこと「すっちーは?」
すち「俺?」
みこと「うん。好きな食べ物」
箸を止める。
すち「……分からない」
らん「あ、前も言ってたな」
すち「うん」
こさめ「じゃあ嫌いなものは?」
すち「それなら分かるよ」
なつ「じゃあ何?」
すち「辛いもの」
いるま「即答じゃん」
すち「嫌いだから」
らん「じゃあ好きなのは?」
すち「……」
俺は少し考える。
弁当の中を見る。
卵焼き。
唐揚げ。
野菜。
どれも食べられる。
でも。
(好きって言われたら……どれなんだろう)
すち「やっぱり分からない」
みこと「そっか」
みことはそれ以上聞かなかった。
ただ、自分の弁当から唐揚げを一つ取る。
みこと「じゃあ、これ食べる?」
すち「唐揚げ?」
みこと「うん」
すち「なんで?」
みこと「俺、二個あるから」
すち「じゃあもらう」
みこと「どうぞ」
俺は唐揚げを受け取る。
すち「ありがとう」
みこと「うん」
一口食べる。
すち「……おいしい」
みこと「よかった」
そのやり取りを見ていたらんが、にやっと笑う。
らん「みこと、すちに甘くない?」
みこと「そう?」
らん「うん」
いるま「確かに」
なつ「まあ、いつもこんな感じだろ」
こさめ「みこちゃん、すっちーにだけ唐揚げあげたしね」
みこと「欲しかった?」
こさめ「いや、別に」
みこと「じゃあいいじゃん」
らん「そういう問題?」
みんながまた笑う。
俺も笑った。
(みこちゃんって、優しいな)
そう思った。
それから少しして、みことが俺の弁当を覗き込む。
みこと「すっちー、それ食べないの?」
すち「これ?」
みこと「うん」
すち「食べるよ」
みこと「そっか」
みことは満足そうに頷いた。
俺は弁当を食べながら、ふと考える。
(俺は、みこちゃんのことが好きなのかな)
すぐに答えは出なかった。
だから、考えるのをやめた。
今はただ、昼休みを楽しめばいい。
そう思った。
コメント
1件
第3話、ほっこりしました〜。 好きな食べ物が「わからない」って答えるすちくんに、みこちゃんが唐揚げを「どうぞ」って差し出すシーン、すごく優しくてじんわりきました。聞きすぎず、でも気にかけてる空気が伝わってきて。ラストの「みこちゃんのこと好きなのかな」って気づきかけも、まだ本人が自覚してない感じが絶妙でした。碧さんの、こういう日常の隙間にある感情の描き方、すごく好きです。続きも楽しみにしてますね🌷