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緑山 紫苑
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どこから話せば良いのだろう。そんなことを考えていると……
「……んっ」
ニティアがゆっくりと身体を起こした。
小さく開いた目がフィニスを見つめる。
眠たそうな目が少しずつ大きくなる。ようやくフィニスが目覚めたことに気がついたようだ。
「フィニス!!大丈夫なの?!」
静寂を突き破る大声。満身創痍の身体にニティアの大声は全身に響く……そう思いながら苦笑いをするフィニス。
「あぁ。心配かけたな」
フィニスの言葉に涙目になるニティア。しかし、すぐに顔を背けた。
「別に……心配はしてないわよ!」
ぷっと吹き出すジャヌス。
「なっ!なんで笑うんですか!!」
顔を真っ赤にしてジャヌスを睨むニティア。
「いえ、なんでもありません(笑)」
「もう!!」
いつものやり取りに、安堵し自然と笑みが溢れるフィニス。視線をニティアに移した。
「ニティア、俺はもう大丈夫だから。自分の部屋で寝ろよ」
「え……でも……」
心配そうにフィニスを見つめる。
「先生もいるし。また明日話そう」
そう言ってニティアの頭に手を置くフィニス。
「うん……わかった……ちゃんと朝起きるのよ!絶対だからね!」
そう言い放ち、ニティアは部屋から出ていく。
足音が遠くなっていくのを確認してから、フィニスは、ジャヌスに問いかける。
「先生、”ノクス”って知ってる?」
⸻
「なるほど……そんなことが……」
フィニスの隣に座ったジャヌスが何かを考えるように呟く。こんなジャヌスの姿を見るのは初めてだった。
「ノクスは、いわゆる黒い魔女の名前……そして、赤い魔女を倒した英雄たちの1人の……魔法使いの名前です
」
「ん?どう言うこと?」
フィニスが首を傾げる。
「黒い魔女の名前が、ひとつ前の魔女を倒した英雄と同じ名前。その名前がノクスだと言うことです」
「でも、赤い魔女が倒されたのが何百年も前で……黒い魔女が現れたのが百年前くらいだろ?」
「そうですね。普通に考えたら、新しい魔女が英雄の名前を語っているだけ……と考えられますが」
一瞬間を置いて、話を続ける。
「英雄が何らかの理由で何百年も生き続け、魔女になった……と言う可能性も0ではありません。その魔法使いがエルフだった場合はあり得ない話でもないですしね」
「それと……魔族がニティアを狙っていた件……これもよく分かりませんが……」
ジャヌスがスッと立ち上がる。
「ここだけはニティアに伏せて、続きは明日。みんなで一緒に話し合いましょう」
そう言って机の上の本を手に取る。
「あなたも怪我人ですから、ちゃんと寝てくださいね」
そう言い残し、部屋を後にするジャヌスであった。