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カーテンから差し込む光が顔を撫でる。鳥の囀りと共に、自然と目を覚ましたフィニスは上半身をゆっくりと起こし、大きく背伸びをしようとしたら……
すぐ横に、フィニスの着替えを持ったニティアが立っていた。
「お……おはよう」
ニティアと目が合い、あいさつをするフィニス。
「おはよう。これ着替え」
そう言い残し、着替えを置いてニティアが部屋から出て行った。
「なんだ……?」
そう小さく呟き、渡された着替えに袖を通す。
着替えが終わり、顔を洗いに行こうと部屋のドアを開けると……
チャプン
水の入った桶を持ったニティアが部屋の前で立っていた。
「顔、これで洗って」
「お、おう……」
言われるがまま顔を洗うと、そのまま桶を持ってニティアはいなくなった。
「………?」
そのままリビングへと足を運ぶフィニス。紅茶とトースト。それから目玉焼きが、すでにテーブルの上に並んでいた。
椅子に座るフィニス。ニティアも少し遅れてやってきた。
「「「いただきます」」」
フィニスが早速トーストを食べようと手を伸ばすと……
ヒョイっ
ニティアにトーストを奪われた。
「お前なにっ……!」
何してんだよ!
そう言おうとニティアの方に身体を向けると……
少し顔が赤くなっているニティアが、手に持ったトーストをフィニスに向けていた。
「あーん」
「………」
固まるフィニス。
「早く!あーん!」
フィニスの勢いに負けて食べてしまった。正面のジャヌスが顔を背けて震えていた。
朝食を食べ終わり、一休みしたら話があるとジャヌスがみんなに言う。
今のうちにトイレに行っておこうと立ち上がり、トイレのドアの前に立つフィニス。
後ろを振り向くと……ニティアがフィニスのズボンを掴んでいた。
「ズボンおろそうか?」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いいかげんにしてくれ!!!」
リビングから震えた声のジャヌスが声をかける
「ニティア……フィニスはもう大丈夫ですから……こっちで待っていなさい……」
「は〜い……」
⸻
「何よ…ちょっとだけ体動かすの大変だろうなって思ったから……そんなに怒らなくてもいいのに……」
テーブルを囲む2人と、頬を膨らませ不貞腐れているニティア。フィニスはこれ以上機嫌を損ねさせないよう……なるべく優しく言う。
「俺はもう大丈夫だから、身体も動くし!」
そう言いながら肩を回す。
ズキっ
「ほんと……?」
「大丈夫だって!だからもう気にするなよ」
「わかった……」
くすりと一度笑ったジャヌス。しかし、次の瞬間……
「さて、先日のフィニスの件です」
真面目な顔になり、2人と向き合った。
「村の外で変な声が聞こえると向かった先で……魔族に遭遇したと」
「……え?魔族!?」
ニティアが大きな声を出して驚く。魔物ですら最近見なくなっていたのだから、この反応は当然と言えば当然だ。
「えぇ。しかし、不思議なことに……その魔族は、コアの一部が白く濁り、傷がついていた。そしてフィニスがコアを破壊すると、黒い炎を纏って消滅……」
「はぁ?あんた魔族と戦ってたの!?バカじゃないの?!」
「あれを無視してたら……みんなに被害が出るかも知れなかったから仕方がなかったんだよ」
一瞬だけふっと笑ったジャヌス。しかし、すぐに表情を元に戻し、話を続けた。
「そして、その魔族は死ぬ間際……ノクスが生きていれば。白髪の……まぁおそらく魔女……と言っていたみたいです」
「ノクス……確か勇者一行……魔法使いの名前ですよね」
「そうですね。そして、黒い魔女の名前でもあります」
ジャヌスの発言に目を大きく見開くニティア。
「え……って言うことは……?」
話がトントン拍子に進んでいる。ニティアに全部話すことにしたジャヌスの意図を、フィニスは顔を見て察した。実際に彼には内容の半分も頭に入っていなかった。
「魔力が供給されれば、コアも修復されるはずです。そのコアが修復されずに傷ついており……」
「……その魔族が黒い炎で消えたと言うことは……もしかして?」
「……王都で見た文献によると、ここ10年くらい……黒い魔女の目撃情報はありません。そこから考えると……」
考えるように眉間に皺が寄っているジャヌスとニティア。
「黒い魔女はもういない可能性もありますね」
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緑山 紫苑