小林さんからお誘い来ないかな~…って何考えてるんだろ…
さっきからずっとL〇NEを開いて閉じてまた開いてっていう動作を何回も繰り返してる気がする…
ピロン♪
「あっ!」
~第4章~
【今日暇?】
小林さんからだ! これの返事どう返そう…
今日暇?だけだとめんどくさいこと押し付けられることあるし…でも遊びの誘いかもしれないしー…
【空いてたらあそぼー!】
よかった ただの遊びの誘いか…
【空いてるよ】
【だろうね~ じゃあプールに行こう!】
【わかったよ】
【じゃあ13時に◯◯プール場集合でよろしくー】
【うん】
さてと…プール?てことは水着姿の小林さn…いやいや、何考えてるんだ僕 ペチン!
きっとクラスのみんなが来るに決まってる!
「よし!準備して行こ…いたた」
頬を思いっきり叩いたから少しだけ頬が熱い…
~~~~~~
「結構広いな…」
プールは行ったことがない…最近だとこんなに広いのか…
周りを見渡すと大学生ぐらいの人達や僕らと同じ年ぐらいの人で埋めつくされていた。家族でくる普通の市民プールとは違うことが伝わってくる
「夜野くん、私は誰でしょう?」
急に視界が真っ暗になり、耳元で誰かが…いや小林さんが言葉を放った 少しだけトーンを暗くしている 多分だれなのか少しでも分かりにくくする為にしたのだろう
「小林さんでしょ?」
手を払って小林さんの方に視線をやる 高めのポニーテール、いつもの服よりはるかに露出度の高い服を着ていて目線のやり場に困る…
「せいかーい 凄いね 結構声低くしたつもりなんだけどな〜」
「小林さんの声特徴的だからすぐわかるよ」
「えぇ!そうかなー…これは喜べばいいのかわかんないね…」
元々小林さんは声が高い たとえ本人低くしたつもりでも周りには普通ぐらいにしか聞こえないだろう
「それじゃ揃ったし楽しみますか!」
「え?他の子は?まだ来てないよ」
「え?私と二人きりだよ?」
二人きりと言う単語に驚きを隠せず体が引き下がりそうになる いやいや二人きりって…そんなまさか…
「あれー言ってなかったっけ?君のこと気に入ったよーって」
「それは聞いたけど二人きりってのは聞いてないよ」
「まぁいいじゃん?今日は各部活の大会だし、同級生ほとんどいないと思うよー」
「え、そうなんだ」
そうだったのか いたらどうしようと不安があったが大会であることを知って胸を撫で下ろした
「うん だからコミュ障な夜野くんでも大丈夫!」
「ぐは…結構刺さる…」
その言葉を聞くと小林さんは謝罪の言葉を発しながら面白そうに笑っていて、全然謝る気を感じ取れなかった
「ふー笑った笑った…それじゃ気を取り直して遊ぼ!」
「そうだね」
「まずはあれ乗ってみたい!」
「うわ!」
僕の腕を掴んで強引に連れていこうとする 待ってと言おうとすると「時間は限られてるんだし遊びまくらないと損だよ」と言わんばかりの表情を向けてきた
〜〜〜〜〜〜〜〜
「はい、バニラアイスでよかったよね?」
「あぁ ありがとう」
その後はとにかく小林さんの思いのままに遊んだ 高所恐怖症だと言ったのにウォータースライダーをし、少しだけ高所が大丈夫になった もう乗りたくないけど…
そして今は軽く休憩している近くにベンチとアイス自動販売機があって良かった…このまま乗りっぱなしだったら疲れ果てて過労死していただろう
「そういえば私ばっかり好きなとこ行ってたけど夜野くんはなにか乗りたいやつある?」
「僕?僕はー」
僕がやりたい事…元々無欲で優柔不断だったから小林さんが強引に決めてくれてよかったとしか思わなかった やりたい事かー…
「特にないかな…ある程度アトラクション乗れたし」
「え!いいの?」
「うん、小林さんのやりたい事が僕のやりたい事だから大丈夫だよ」
なんだかかっこつけてるみたいで恥ずかしくなった
「うーん…もう日も暮れてきたからな〜今何時だっけ?」
「16時32分…4時半だね」
「じゃあ…あそこ行こう!」
小林さんが指を刺した場所はプールのアトラクションのずっと奥にある観覧車だった どうやらプールの奥にもまた遊べる遊園地らしき所があるらしい
「じゃあ着替えて外でてプール場の前に集合ね!」
「はーい」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「おまたせしました… 」
「おそい!」
「はい…」
今の時間帯だと帰る人がそこそこいたから着替えるのに時間がかかった 遅れるかもって連絡してたから大丈夫だろうと思ったけど、小林さんの気分はやや斜め気味だ…
「はやく行くよ!遊園地閉まっちゃうかもしれないし」
「そうだね」
小走りでしばらく走るとかなり大きい遊園地があった
「あったあった!ここだー」
「受付…できるかな?」
5時にはさすがにチケット貰えないか…今小林さんが受付場所まで行ってくれてるけど…
「あ、小林さん どうだった?」
「うん、はいチケット」
「え?あぁ貰えたのね」
「うん観覧車だけだけど」
「メリーゴーランドとかジェットコースター、バイキングあるのに観覧車なんだ」
プールであれほどウォータースライダーに乗ってまだ体力あるよーと言っていたからまだ遊びまくるのかと思ったけど案外そうでもなかったみたいだ
「うん、だってジェットコースター待ち時間長かったし…待ち時間が短かったら乗れたのにさ…」
ムスッとしている小林さんの顔は可愛げがあって見物だった 少しだけいじめてやろうか…
「そーれーにー」
「?」
「夜野くん、今日私と喋れなくて寂しそうな顔してたからさ〜 観覧車だと二人きりだからゆっくりお喋りできるでしょ?」
「……自意識過剰」
「じゃないよ!」
前言撤回 やっぱり小林さんをからかおうするのはやめよう…逆にいじられる…
「もういいから!観覧車乗るよ!」
「はーい…」
観覧車の受付員にチケットを渡し、観覧車に乗ると急に足が重くなりすぐに座ってしまった いつもはこんな運動しないからな…
「夜野くん座るの早すぎ!そこはレディファーストだよ!」
「小林さんみたいに体力無限にある訳じゃないから許して…」
「あははっめっちゃ疲れてるじゃん」
「小林さんのせいでね…」
「でも今日は凄く楽しかったよ ほら、外見てみなよ綺麗な夕焼け…」
「うぅ…」
眠たい目を擦って見てみると、そこには綺麗な赤色の夕焼け雲があり所々青紫色の空が見える うっすら月を見え始め、都会ではなかなか見れない星々もチラチラ見えた
「綺麗…」
「でしょ?凄いよね 地平線の所から徐々に赤くなっててさー…」
つい見とれてしまう… 高いところからだからか分からないけど普通に見る夕焼けよりはるかに綺麗と感じる いつの間にか高所が全然怖くなくなっていた
「私さ…」
小林さんが言葉を放った それを返そうと小林さんの方を向くとまだ外を向いていた
「家族…いないんだよね」
「え?」
体が固まった…嘘であって欲しい、聞き間違いであれと思っていたけど
「4歳ぐらいだったかなーその時私家で留守番しててさ」
聞き間違い…ではないことが分かる 小林さんの顔は見えないけど声質的に何かを諦めたような…解放したような声だった
「なんで私だけ留守番なんだろーって思ってたら、私の誕生日ケーキ買ってたんだって…そしたら交通事故でみんないなくなっちゃってさ…」
「………」
観覧車の中はただただ暗い空気があった きっと小林さんは今しかいえないと思ったんだろう
「夜野くんもいつかはいなくなるの?」
「…わからないけど小林さんが生きてたら多分僕も生きてると思うよ」
「そっか…」
「僕になんで言ってくれたの?」
「夜野くんには別に言ってもいいかなって」
「…僕は小林さんの気持ちはわからない、家族はいるしひとりぼっちだったわけじゃないから」
「うん…」
「だから…その、慰めとかはできないけど話を聞いてあげることならできるから!思いっきり本音と言うか弱音と言うか…そうゆうのどんどん言ってっていいから!」
「うん…ありがとう夜野くん」
さっきよりも落ち着いた口調だったので安心した…あ眠気が…
ドサッ
「夜野くん?おーい…寝ちゃったかなーこりゃあ」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「はっ!ここは?」
唐突な眠気に襲われて寝てしまっていた 小林さんを探そうかと思ったけどー…ここは僕の家だった
後々母に聞いた どうやら観覧車で寝落ちしてしまい小林さんがわざわざおぶって家まで運んでくれたらしい スマホには二三件のメッセージがあり…
【よく寝れた?】
【てか人からの視線が痛かったよー】
【女子高校生が男子高校生をおんぶするって他の人から見れば変な感じするよねー…】
「ふふっ」
後で返信しといてあげよう そしてもう1回寝ようかな…今度はいい夢見れそう…
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ねむーい!