プールに行ってしばらく経った 今日は久しぶりに遥斗とゲームをする日
(家族…いないんだ)
小林さんのこの言葉が最近脳裏にチラつくようになった いつものようにゲームをしようとしても小林さんの事が気になって集中出来ない
「あー…」
小林さんは家族がいないと言っていたが一人暮らしなのだろうか、また祖父母と暮らしているのだろうか…どっちにしろ小林さんが孤独を感じてないといいな
【おーい!時間!】
「あ…やべ普通に忘れてた」
〜第4章〜
ピンポーン
「随分と遅いじゃないですか海翔さん」
「大変申し訳ございませんでした」
遥斗は怒ると何故か敬語になる そして今説教を食らっています…玄関前だから近所の人に見られないか心配なんだけどー…
「まぁいいんだけど…大丈夫そ?」
「え?」
「めっちゃ息切れしてるじゃん 体力そんななかったっけ?」
「あ…確かに…」
小林さんと遊んでからしっかり休めたはずだし、元々サッカーしてたから普通の人ぐらいには体力あるはずなのに…どうしたんだr
「ゴホッ ゴホッ…」
「おいおい大丈夫かー?」
「ごめ…ゴホッ」
「とりあえず中入りな?」
「ありがと…」
遥斗の家に入るとそこには2匹のサイベリアンの猫がいた いつもは楽しげに鳴いてお出迎えしてくれるのに、今日は悲しそうに鳴いてる
「ほらお茶…んでどうしたんだよ」
「僕にもわからないんだ…最近運動してなかったから体なまっちゃったのかも あ、もう大丈夫だよ」
「良かった…やったなミーとムー!海翔治ったってさ」
猫達にハイタッチをして笑顔でいる遥斗の様子を見ると、ますます猫好きなのが伝わってくる
「んじゃ気を取り直してゲームしますかー!」
「そうだな!よし今度こそボスを倒すぞ!」
「 「おー!」 」
〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふー…やっと倒せた…」
「めっちゃ時間かかったなー…疲れた…」
ゲームをして約4時間経ったぐらいだろうか…すごく目が痛い さらに僕はゲームをすると猫背になってしまう癖があるからさらに疲労感が強く感じてしまう
「んー!」
思いっきり伸びをして背筋をピンとはる 首を回すとゴリゴリと音が鳴った。ゲームのやりすぎは良くないかもな…
「おつかれー」
「ありがとう」
僕が伸びをしている間に遥斗が緑茶を持ってきてくれた こうゆう気遣いができるところを僕は尊敬している
緑茶の瑞々しい爽やかな香りが鼻腔をくすぐる 薄黄緑の緑茶を少しづつ飲んでいると遥斗がこっちを見てきた
「あのさー」
「?」
「僕小林さんに告白しようかなーって思ってるんだけどどう思う?」
「ブフォ」
あとちょっとで遥斗の顔に緑茶を吹きかけてしまうところだった… いやー危ない危ない
「大丈夫か?」
「ゴホゴホ」
「最初に戻ってる…待ってて!水とってくるわ!」
吹き出しはしなかったけど、すごいむせ込む…これ多分気管に入ったな
「水持ってきた!えっとー気管に入った時は前傾姿勢がいいらしいぞ!」
背筋を張ったはずがまた猫背に戻る 遥斗は僕の背中さすってるし、猫はその光景を見て普通に毛ずくろいしてるし…完全にカオスだ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それじゃまた遊ぼうなー 今度は忘れずにな!」
「うん、また遊ぼう」
もう空は薄暗くなり始めている できるだけ早く帰って寝よう
(僕小林さんに告白しようかなーって思ってるんだけどどう思う?)
まさかあの遥斗が小林さんに告白か…付き合わないと思うけど遥斗なら行けそうだなって思ってる自分がいる もちろん友達として応援してあげたいし、付き合えた!って言って盛り上がってるところも見てみたいけどー…
「……モヤッとするなー」
もしも付き合えたとしたらもう小林さんが僕と一緒に遊んでくれなくなっちゃうんじゃないかとか 遥斗もゲームしなくなってしまうのではないかとか、いろいろ考えてしまう…
「うーん…」
いつの間にか元々あった普通が消えた気がする いつもは自分の部屋でゲームをずっとして、学校でも遥斗と軽く話して、帰る時はずっと1人 夏休みもクラスの人のストーリーを見るだけで僕自身は何もしない それが今までの普通だった
けどもう違う あの転校生が来てから、誰もが魅了される容姿とからかうのが好きで家族を誰よりも愛する そんな人が僕の隣の席に座った時から僕の普通は普通じゃなくなったんだ
周りに目をやると1人の影が見てた あれは…
「……………!」
「あ、夜野だ!めっちゃ久しぶりじゃん!」
「いたた…港?」
「蓮でいいって言ってるのにー 中学校ぶりじゃん?彼女できた?ねぇねぇねぇ」
「できてないよ そっちは?」
「俺もできてなーい!」
「なんだよそれw」
久しぶりの再開で港も僕も少しはしゃぎすぎたかもしれない… 港とは幼なじみでよく一緒に遊んだことがある
「あ!母さんが呼んでるわ!それじゃあな夜野」
「うん、またね」
中学まではずっと一緒にいたけど、港は高専に行ってしまったから高校は違うけどその代わりに中学で知り合った遥斗が一緒でよかった なんだかんだ言って友だちがいない訳じゃないのかもしれない
「今は遥斗を応援しますかね…」
遥斗に【がんばれ】とだけ送ってすぐ帰ろ…スマホ見たらもう6時すぎてたし…
新しい悩みがまた増えちゃったなー…
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一応読み方 港 蓮(みなとれん)