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類さんの乗り換え駅は、確かここだったよな
episode19
今日は類さんが久しぶりに学校に行った日。せっかく時間があるなら、一緒に帰ろうかな〜…なんて思った。
道は類さん家に初めて行ったとき、教えてもらったから大丈夫だけど…
急に行ったら迷惑かな…?
いつもの曲道の反対を行く。
駅のホームは意外と広くて、迷子にならないようにしないと…!
頭の中で必死に道を思い出しながら、ぐんぐんと前に進む。
すると、一つの階段が見えた。
「あ、ここか…。」
階段を上り切ると、丁度電車が止まっていた。
ま、間に合った〜…!
ぞろぞろと人が降りるなか、目を細めて類さんを探す。
早く見つけて驚かさないと…。
…でも、その中に類さんの姿は見当たらなかった。
…あれ…?この駅で合ってると思うんだけど…まあ、一度しか来てないから、仕方ないけど。でも…
「驚かせたかったな〜…」
すると後ろから思いっきり抱きつかれる。
「ショウにゃ〜ん!!来てくれたの?!」
「うわ〜〜〜!?」
心臓飛び出るわ!!
「び、びっくりした〜…」
「ショウにゃん、会いに来てくれたの?」
「え?ま、まあ…」
驚かせるつもりが、驚かされてどうする…。
すると、類さんと同じ制服の二人が、こちらに向かってきた。
駅の出口、あっちなのに…?
「すげ〜、ホントにショウにゃんじゃん。」
「まるで別人だな。」
あ、類さんの友達?
なんか、一人は前に類さん家に来たことある、髪色明るくてチャラそうな人、もう一人は真面目な感じがする。
「こ、こんにちは。」
「こんにちは!ホントにショウにゃんそっくりだね!!」
声でか…。
「それもびっくりだけど、類の反応も、修也の言う通り別人だな。」
「だろ〜?お手本のようなデレデレさ。」
この人たち、何なんだ…?
「ショウにゃん、こいつらの話は聞かなくていいからね。ショウにゃん疲れたでしょ?次の電車まで休もう?」
類さんは俺を抱えたまま、階段を下りようとする。
「一人で歩けるよ…」
「この不真面目が鈴野 修也。で、真面目そうなこっちが宮木 漣。仲良くしなくていいからね。」
「何でだよ。まあ、仲良くしてくれ。」
ベンチに腰を掛け、ある程度の紹介をしてくれた。
「どうも。俺は細田 笑っていいます。よろしくお願いします。」
「名前まで一緒なんだ!よろしくね!」
鈴野さんは俺の頭をワシャワシャとなでる。
「わわっ💦」
すると、類さんは鈴野さんの指を握り、ゴキッという不吉な音を鳴らした。
「あ”ーーーー!!!」
「ショウにゃんに気安く触るな。」
仲良いのか悪いのか…
「てか、最近ショウにゃんも有名になりだしたよな。気をつけろよ。」
「何で俺…?」
「それぐらい似てるってこと。もしかしたら、君も狙われるかもだからな。」
「ショウにゃん、電車は初めて?」
電車に揺られながら、類さんはそう囁く。
座るところがないから仕方なく類さんの膝に座っている。
最初は類さんも譲ってくれたけど…申し訳ないので…。
「うん。初めてだから、ちょっと緊張してる…。」
「大丈夫だぞ。今回は空いててよかったな。」
「ね〜!」
結構人数いるけど、これよりも多いのか…。
「てか、久しぶりに類が来たから、学校中驚いてたぞ。」
「そうそう、クラスの女子なんか皆して、誰から類に話しかけるか相談してたもん。」
確かに、顔がいいからモテるのもわかる。
「笑くん、知ってる?去年のバレンタイン。あれは類酷かったなー。」
「ショウにゃん、聞かなくていいからね。」
「気になる!」
「ショウにゃん…?」
初めての電車は楽しいものになった。
あれから電車を下り、鈴野さんたちと別れた。
ドッキリは成功しなかったけど、その分、二人と出会えた。
「ごめんね、アイツらが…」
「こっちこそ、急にごめん。」
「全然!学校でも早くショウにゃんに会いたかったから、凄く嬉しかった!!」
うっ…///
「類さんさー…///」
「ん?」
そういうとこ無意識なの何なんだよ。
すると、丁度曲がり角に差し掛かるとき、路地の方で話し声が聞こえた。
でも別に話し声なんてよく聞くし、俺も類さんもただ通り過ぎようと思っていた。
あの言葉が聞こえるまでは。
「ーーー…ー!…ー」
なんか、やたらコソコソ話してんな…。
「……ー…
細田 笑…」
すると類さんは突然足を止めた。
その声は俺にも鮮明に聞こえた。
知らない男の声から、俺の名前が出た。
「…類さん…あの人たちー…」
最初は単なる偶然かと思った。たまたま名前が一緒なだけで、俺ではないと。
でも、類さんはそれを怪しく思ったのか、俺の手を握る。
そのまま歩き、路地の前を通ると、会話はより聞こえた。
「細田 笑を確実に捕まえる。」
その瞬間、暗い路地から手が出てきた。