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えとside
「失礼しまーす」
教室の扉をのあさんが開けようとする。
でも、のあさんの手は、少し震えているような気がした。
息遣いもさっきまでとは少し違う。
少し、荒くなっている。
ただ、緊張しているだけだ。
そう思っていた。
扉がガラガラ、と音を立てた。
のあさんの呼吸が、荒くなっている。
「どうしたの?」
と、私が声をかけても、
「なんでもない」
返事は、ずっと、ただそれだけだった。
何度聞いても、返事が変わることはなかった。
「なんでもない」
ただ、それだけだった。
「席どこだろ!近いといいね〜」
と、何事も無かったかのようにのあさんが話しかけてきた。
「えっ」
「アリーナ… 泣」
「え、まじ!のあさん運悪い、」
「私はここか〜、」
残念ながら席は離れていた。
私の席は、1番後ろの、窓側。
ザワザワとした教室の中、私は外を見つめていた。