テラーノベル
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やっと仕事が終わった。けっこう飲ませてくるお客さんがいたから、少しふらふらする。
更衣室へ行くと、着替え終えたちかさんがいた。
「あ、たまもちゃん、お疲れ様!ヘルプありがとね!」
「お疲れ様です」
少しふらつきながらロッカーを開ける。
「大丈夫ぅ?飲み過ぎちゃった?」
「そうなんですよー。すごく飲ませてくるお客さんがいて。その人会計時に顔真っ青になってましたけどー」
「キャハハハハ。まあよかったじゃん。それがたまもちゃんに入るんだから」
笑ってそう言った後に
「私はよく来てるまんまるの部長さんと社長の息子さんと飲んでたよ」
三重だ。
あの豚饅頭とは関わりたくない。
いくら金をもっていたとしても。
見た目以前に性格が最底辺すぎる。
「あとー。途中から綾葉の元カレとその友達がきたよ。部長さんに呼ばれて」
そうだったんだ。
友和……大丈夫だったかな?
「シャンパンも開けてもらったし、今日は儲けられたねー!」
流石ちかさん。
「すごいですね! ちかさん!」
「ありがとう。たまもちゃん。私もう帰るから、帰り道気をつけてね」
「ありがとうございます! お疲れ様です!」
ちかさんが出て行った。
早く私も帰ろう。
帰りの電車を調べた。
その時、携帯に付けてるアマビエのストラップを見て、昔のことを思い出した。
「それってアマビエ? 病気から守ってくれるんだよね?」
私のストラップを見て、声をかけてくれたのが友和だった。
初めてだった。
わかってくれる人。
綾葉からは「何? そのダサいの?」って言われたな……。
私も綾葉程ではないけど、髪染めて巻いたりと派手な見た目をしてた。
実は小中学校時代ソフトボールチームに入ってた男勝りな女の子で、男の子に間違えられるぐらいだった。
友和は覚えてないみたいだけど……。
小学校から一緒だったけど、初めて会話したのが高校からだった。
高校入ってからおしゃれに興味を持ち始めて、ソフトボールも辞めてしまった。
でも、昔から大好きだった妖怪に関してはずっと好きだった。
怖い妖怪もいるけど、人を守ってくれたり助けてくれる妖怪もいる。
妖怪によって様々な容姿やお話しがあって、私は小さい頃から夢中になって本を読んでいた。
その中で1番好きなのがアマビエ。
小学生の時に、お母さんが病気で倒れてしまった。
体の弱いお母さんは、体調崩すことがよくあった。
アマビエの伝説には、人間に「豊作は続くが、疫病が流行るから私の絵を人々に見せなさい」とアマビエが人間に伝えたという話がある。
あくまで予言しただけで、実際に絵を見せて疫病が治まったかどうかはわからないみたい。
でも、私はお母さんによくなってもらいたいって思いながら絵を書いて、お母さんに見せた。
下手な絵だったけど、お母さんは「上手な絵ね。ありがとう」って喜んでくれた。
数日後、お母さんの状態は回復して、無事退院した。
それから私はお守りとしてアマビエのストラップを携帯につけるようにしたら、体の弱い母さんや私は、大きな病気は無く今まで生きることができた。
お父さんは……。
仕事の過労で死んじゃったけど……。
周りの人で共通の趣味の人はいなかった。
音楽、アニメ、ゲーム、アイドルとか……。
その時の流行で、みんなそれに乗っかるんだ。
趣味を話せる人がいない。
少し諦めていた。
でも……。
友和に声をかけられた時、嬉しかった。
友和は少し知ってた程度だけど、色々と調べてきてよく話をしてくれた。
友和も言ってたけど、あの頃は楽しかったな……。
「この妖怪女!きもいんだよ!」
学にそう言われながら、叩かれたことを思い出す。
酷い時は武器まで持ち出してた。
付き合う前は友和の後ろで「おもしろいじゃん! それ!」って言ってたのに……。
「私付き合う人……間違えちゃったな」
言葉に出してしまい、余計に悲しくなった。
早く帰ろう。
電車に間に合わなくなっちゃう。
そう思い、急いで準備をした。
帰ったら久々にあれでも見ようかな……。
コメント
7件
第38幕「戻せない過去」読了〜!!😭💕 たまもちゃんの回想シーンが切なすぎる…!アマビエのストラップに込められたお母さんへの想い、小さい頃からずっと妖怪が好きだったのに周りに理解されなかった孤独感、そして友和だけが「わかってくれる人」だったっていうのがもう胸に刺さりすぎるよ…😢💔 「私付き合う人…間違えちゃったな」ってポツリと漏らすところ、めっちゃグッときた。たまもちゃんの優しさと寂しさが伝わってきて、勝手に「うんうん、わかるよ…」って頷いちゃった📖✨ ちかさんとの軽い会話とのギャップも良いアクセントになってて、感情の振れ幅がすごい回だった!続きすごく気になる〜!!🌸
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