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はるん
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「ど…どうしよう若井……元貴が……
“火事に遭った”って………」
………………は?
「待って……どういうこと…?」
あまりにも突然の出来事に頭の処理が
追いつかず、混乱の渦に呑み込まれる。
「わ…わんない……けど……
と…とりあえず行かなきゃ、!」
涼ちゃんの声色からもかなりの
焦燥感が滲み出ている。
涼ちゃんの表情から伝わる緊迫感で
『これは夢では無いのだ。』
という事実が現実味を帯びていく。
元貴………火事……………行かなきゃ……
先程、告げられた言葉が
スローモーションになって頭に流れた。
頭が段々と整理され、今の状況の
恐ろしさに蝕まれそうになる。
一旦落ち着け。
ここでパニックになったっていい事は無い。
ひゅ…と俺の肺が忘れていた
呼吸を再開し始めた。
一度思いきり息を吸いこみ、
ゆっくりと吐き出す。
脳に酸素が行き渡り、急速に回転を始める。
そうだ。
元 貴のところに行かなくては。
「どこ、?家?」
ひとまず、居場所を探る。
「うん… 」
「急がなきゃ。俺車出すから、行こ、!」
「わかった、」
俺たちは戸締りも忘れ、
車の方へと全力疾走した。
途中から息が切れ、肺が悲鳴を上げる。
だが、そんなことに構っている暇はない。
車に着くが早いか乱暴にドアノブに触れ、
鍵を開ける。
スイッチを押して
自動ドアが開くのを待つ時間さえ、
限りなく長い。
俺の時間だけスローモーションになったかのようだった。
もどかしい。
待ち切れず、
ほんの少しの隙間から無理やり体をねじ込む
涼ちゃんが乗り込んだのを確認し、
アクセルを思い切り踏み込んだ。
急げ、急げ……。
じゃないと、元貴が…………
「あぁ…くっそ………」
目の前の信号機が緑色の光から黄色、
そして赤へと変化していく。
こんな時に限って……なんなんだよ…
信号待ちの数十秒程のはずの時間が
数時間ほどにさえ感じられる。
焦燥感が募っていく。
俺は青信号に変わった途端に
アクセルを踏み込んだ。
数分後、元貴の家に現着した。
「ぅわ…………」
隣で涼ちゃんが小さな悲鳴を漏らしたのが
わかった。
___現場は想像以上に荒れていた。
炎が建物全体を包み込み、蝕んでいる。
どす黒く不穏な煙がもくもくと
空高く上っていく。
「っ…………」
あの中に元貴がいるのか………?
正直、未だに信じられない、いや…
信じたくなかった。
あまりに現実離れした異様な光景を前に
俺はただただ立ち尽くしていた。
「あ…ねぇ、若井…あっち……」
涼ちゃんが小さく呟く。
示された指の先を辿ると、
『救助者・安全確認者 部屋番号確認表
ご知り合いの方はご確認ください。』
と、いくつかの数字が書き込まれた
ホワイトボードが掲げられているのが
目に入った。
「見に行こ、」
俺は小さくそう言い、歩みを速めた。
元貴が無事ですように。
何ともありませんように。
そんな言葉をずっとずっと心の中で
反芻しながらホワイトボードの前に
辿り着いた。
元貴の部屋は確か……502だ。
あってくれ……頼む………どこだ…どこだ…
502……502…………………50………2……
あぁ……………
ない…………………。
とてつもない失望がどっと押し寄せ、
俺は深い深い絶望の沼へと
引きずり込まれた____。
コメント
1件
おお……これはまた急な展開だったな……。冒頭の涼ちゃんのセリフ、一瞬で空気変わったわ。主人公が「は?」ってなる感覚、すごくわかる。それから呼吸を思い出すシーンとか、現場に着くまでの焦りと時間の感覚の描写、リアルで引き込まれた。ホワイトボードの前に立って502を探すところ、文字だけなのに心臓バクバクしたわ……「ない」の絶望感が重い。元貴、どうなったんだろう。次がすごく気になる🔥